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コラム

2009年2月 1日 日曜日

ストレスと掻把行動  東洋医学研究所® 主任  中村 覚

平成21年2月1日号

はじめに
 今年も乾燥の季節がやってまいりました。
 老人性乾皮症やアトピー性皮膚炎の方のみならず、乾燥肌によるかゆみがある方が多いのではないでしょうか。
  前々回のコラムで「かゆみの悪循環」を断ち切ることのお話をさせて頂き、前回のコラムではそのための「スキンケア」についてお話をさせて頂きました。
 かゆみがありますと掻破行動(そうはこうどう)といわれる皮膚を引っ掻く行動が出てきますが、この掻破行動が「かゆみの悪循環」を生む元凶となります。
 「イライラすると掻きたくなる」という衝動を日常的に感じることがあると思います。このように掻破行動はストレスによって強く引き起こされるものなのです。
 今回は、そのストレスと掻破行動についてお話しさせて頂きます。

1.皮膚の状態とストレス
 見た目というものはその人の自己像そのものになるため、皮膚の見た目の状態は人間関係や社会生活上での役割も大きくなっています。したがって、皮膚の異常(視覚的)は、それ自体がまた大きなストレスとなって作用します。
 また、スキンシップという言葉があるとおり、子供にとって母親と肌が触れあうことによる安心感など、皮膚感覚というものは心理状態に深い影響を与えることがわかります。

2.ストレスと掻破行動
 掻破行動は直接的に皮膚を損傷し、さらなるかゆみを誘発します。
 従来の掻破行動は「かゆみ」による反射的行為と見なされてきましたが、掻破行動は単に生理的な皮膚のかゆみによるとは限りません。例えば「イライラするとかゆくなる」という表現はよく耳にしますが、その「かゆみ」は皮膚の部位を特定できる生理的なかゆみ感覚ではなく、「掻きたい」気持ち、すなわち掻破の衝動であることが多いのです。
 掻破行動には快感があるため、「ホッとする」「気が紛れる」「陶酔感がある」などの精神的効果が強くありますが、充足感がないためかえって強迫的に執拗に長時間行われてしまいます。
 このような掻破行動が習慣化することよって、精神的依存性が高まり一種の嗜癖行動、依存症となることがあります。

3.認知の仕方とストレス
 認知とは物事のとらえ方や考え方を認識することですが、この認知の仕方によってストレスの感じ方が変化をします。例えば、犬の散歩について「母に言われるからしょうがないからやる」という認知であればストレスとなりますが、「犬の散歩は好きだから楽しい」という認知であれば、ストレス解消手段になります。このように、認知が変わればストレスが軽減される場合があるということを覚えておいて下さい。
 では、どのようにして認知を変化させることが出来るのでしょうか?
 認知を変化させるためには、頭の中で考えるだけでは非常に難しくなかなか出来ることではありません。日常の会話や行動を変化させることによって変化させることが出来ます。

 例 1
  ここにひとつの家庭があります。
  アトピー性皮膚炎のお嫁さんはお義母さんのことが嫌いで嫌いでしょうがありません。お嫁さんは自分でもそんな考え方では良くないことはわかっていますが、どうしても好きにはなれません。毎日一緒にいるだけでストレスになりイライラして皮膚がかゆくなり、引っ掻いているため皮膚がボロボロになっています。旦那さんが仕事から帰って来たときには思わず八つ当たりをしてしまいますが、旦那さんは「まぁまぁ」というだけで何も変わりません。
 そんなある日、相談に行ったお寺で和尚さんに「とにかく毎日5分間だけでいいから、お義母さんの肩を揉んでみなさい」と言われました。お嫁さんは何がなんだかよくわかりませんでしたが、「まぁ5分だけなら」という気持ちで肩もみを始めてみました。嫌いな人の肩を揉むのですから、初めの頃はそれがストレスとなっていましたが、毎日することで段々慣れてきました。
  1ヶ月ほど過ぎたある日、いつものように肩を揉んでいたら、お義母さんから「毎日ありがとうね。おかげでいつも肩が楽になったわ」と言われました。その時、お嫁さんはあんなに嫌いであったお義母さんのことが嫌いではなくなっていることに気がつきました。ふと皮膚を見てみると、ボロボロだった皮膚がきれいになっていました。

 このように、ストレスに感じていることに対する行動を少し変化させることによって、物事の認知の仕方に変化を起こすことが出来ます。大切なのは、その行動変化が本人にとって大きすぎるものではいけないということです。「とりあえずやってみよう」くらいが良いでしょう。

 例 2
  ある家庭の父親と子供のストレス関係について考えてみましょう(図1)。
 子供は、父親がいつも怒るために困った問題があるとウソをついてごまかしてしまいます。一方父親は、子供がいつもウソをつくので信頼ができなくて、そのために子供を叱ってしまいます。このようなストレス関係はお互いに対する認知とそれに伴う行動によって維持されています。このストレス関係を良い関係へと変えるためには、認知を変えるかあるいはそれに伴う行動の変化が必要になります。例えば、子供が父親を恐くないというふうに認知が変わればウソをつかなくなりますし、その結果父親も怒らなくなります。認知が変わらなくても、子供がウソをつかないという行動の変化を起こすと、父親は同様に叱らなくなるかもしれません。そうすると、結果的には「父親は恐い」という子供の認知が変化してくるでしょう。


 
 このように、ストレスを維持しているシステムを変えるためには、そのシステムを維持している構成者の認知や行動の変化が起こると良い結果が生まれてきます。

おわりに
 ストレスによる掻破行動をなくし「かゆみの悪循環」から逃れるためには、認知を変化されると有効であると言われています。特にストレスによる掻破行動は薬があまり効かないことが多く、認知を変化させるカウンセリングなどが行われています。
 東洋医学研究所®グループでは、認知・行動に影響を与える対話の技法などの勉強をしています。そして、患者さんと対話をすることでストレスの緩和ができるように日々人間性を磨いています。
 これまでのコラムでもお話ししましたが、臨床の現場では鍼治療をすることによって皮膚の潤いが増し、色・艶がよくなることを多く経験しています。
 是非、ストレス緩和やきれいな皮膚を手に入れるために鍼治療をされてはいかがでしょうか。

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