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コラム

2009年7月 1日 水曜日

音楽について2 東洋医学研究所®グループ 山田鍼灸治療院 院長 山田 耕

平成21年7月1日号


はじめに
 人生の謎、喜び、哀しみ、そして平安...こうした神秘的な経験を表現するのには、言葉よりも音楽のほうが適している。幾千の言葉を重ねたところで、文学は音楽にはかなわない。優れた音楽は、疲れた知性に清涼感を与え、そして悩める感情に慰めをもたらしてくれる。(ポール・ブラントン)

 音楽とは、人間が楽しんだり、意味を感じたりすることのできる音のことです。また、このような特性をもつ音を様々な方法で発したり、聴いたり、想像したり、それに合わせて体を動かしたりして楽しむ行為のことです。
 前回は、音楽の心理的な影響についてご紹介しました。今回は、音楽が脳に及ぼす影響についてご紹介します。

音楽と脳
 皆さんは、音楽によって心が安らいでみたり、何気なく頭の中にメロディーがでてきたり、カラオケでスッキリした記憶はありませんか。
 私達人間には、音楽は必要不可欠な物で無意識に暮らしの中に取り入れていますが、本当は自分自身がいかに音楽に助けられてきたのかを知っているからだと思われます。

 音楽というものに、こんなにも心を動かされるのは何故でしょうか。
 私たちの脳は音楽をどう処理しているのでしょうか。
 脳画像に基づく最新の研究から,その秘密が少しずつ見えてきました。
 意外なことに、音楽を処理する特別な「中枢」は存在しません。音楽を聴くと脳のさまざまな領域が反応しますが、音楽の認識や情動的反応など、それぞれで関係する領域は異なります。音楽は脳全体にわたる多数の領域に関連しています。
 また、その人にとって重要な音楽に対してはより敏感に反応するよう、脳そのものが変化していきます。神経細胞が敏感に反応する周波数が学習によって"調律"し直され、重要な音にはより多くの神経細胞が最適に応答するようになります。こうした細胞レベルでの調整が聴覚野全体にわたって起こり、以前よりも広い範囲の皮質で処理されるようになります。

音楽に関係する脳:音楽を、単なる「音」ではなく、また「言語」でもなく、「音楽」として認識する脳のメカニズムは、まだ詳しく分かっていません。
 音楽、とくにリズムと、身体を動かすことは関連しています。
 幼い頃から練習を始めた音楽家は、非音楽家とくらべて大脳の左右半球を結ぶ連絡路である「脳梁」の前部が大きい(Schlaugら、1995)。楽器の演奏に必要な両手の協調運動や、リズム・和音・情感・楽譜の視覚刺激などといった様々な情報を左右の皮質の各部位で処理し、密接に左右連絡しあうことが関係している可能性があります。
絶対音感:聴いた音の音階、基準になる音との比較なしに、努力せずに識別できる能力のことで、9~12歳程度を超えると身に付ける事ができないといわれています。アジア系の人には絶対音感の持ち主が多いと言われていますが、これが遺伝的、文化的要因のいずれによるのかははっきりしません。また、絶対音感を持っている人と持っていない人では、音高(知覚される音の高さ)を判断しているときに血流が増加する脳の部位が異なります。持っていない人では、音高を短期記憶として覚えることに関係する右前頭前野の活性が弱いのに対し、持っている人では記憶との照合をする背外側前頭前野の活性が強く、また絶対音感保持者では側頭葉の左右非対称性(左>右)が強いといわれます(Zattoreら、2003)。

 「楽譜を読みながら、演奏」しているときの脳をPETスキャンを行ったところ、まずは「音楽する脳」では、他人の弾く音階の場合でも、自分が弾く音階の場合でもいずれも両側側頭葉にある聴覚連合野と左の上側頭回という所の領域に活動がみられました。また、音楽を聴いたり、弾いたりせずに、「楽譜を読む」だけの場合には、両側後頭葉の視覚連合野領域と左頭頂・後頭移行部が活動していました。「楽譜を見ながら曲を聴く」場合では、曲を聴く時の活動領域と楽譜を読むときの活動領域に加えて、両側頭頂葉の縁上回の活動がみられました。そして、「楽譜を見ながら右手でキーボードを弾く」ときには、楽譜を見ながら曲を弾くときに活動する脳の領域に加えて、運動の計画や実行に関する前頭葉や頭頂葉の領域が活動していることがわかりました。
 これらのデータから「音楽する」ということは、様々な感覚が必要とされ、脳のほとんどの領域が活動して行われています。すなわち、「音楽する」ことは、脳全体が活動してはじめて可能となります。

音楽の与える影響
 音楽の持つ力は深く、壮大です。そして音楽には、「規則性」と美しさがあります。「緊張と弛緩」を繰り返す心臓の鼓動にも似ています。人々が「音楽による癒し」を求めるのはなぜでしょう。音楽は人々に深い感銘を与え、安らぎを与えるかと思えば、男たちを戦場へと駆り立てもします。懐かしい音楽は記憶を回想させます。
 バロック音楽は、秩序、予測性、安心感を与えてくれます。ハイドンやモーツァルトなどの古典派音楽は、優雅さと透明感が集中力や記憶力、空間の認識力を高めてくれます。
 私たちにもっとも身近な「歌謡曲」は、グループや同一性のシンボルであり、グループへの帰属感をもたらします。また、唱歌、童謡、軍歌、民謡、流行歌といった音楽は、日本民族的感覚を覚醒・回想させ、社会的共有性を強化・定着させるのに有用です。こうした音楽は、コミニュケーションを図り、心の安定につながります。

おわりに
 平成21年6月7日、アメリカ・テキサス州で行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで辻井伸行さんが日本人で初優勝を果たしたことは記憶に新しいことです。
 よい機会ですので、あまり音楽を聴かれない方や興味がない方もカラオケで歌ったり、クラシック名曲集などお聴きになられるなど、音楽と接してみられてはいかがでしょう。
 東洋医学研究所®の治療室では、様々な訴えを持った患者さんが多く来院されます。そこには、ピーンと張り詰めた緊張感の中で黒野保三先生が診療を行われ、スタッフの先生方も一生懸命に診療に従事しています。患者さんも一生懸命で、治してもらおうと来院されています。この空気が、黒野保三先生が醸し出す、人間性という無音の音楽かもしれません。
 東洋医学研究所®グループの先生方も黒野保三先生を見習って、一生懸命鍼治療を行っています。痛みが無く副作用の無い、疾病の予防となる全身の調整を目的とした 鍼治療(黒野式全身調整基本穴)を受けてみてはいかがですか。

引用文献
1.奥村歩:音楽で脳はここまで再生する.人間と歴史社.2008
2.http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0503/music.html
3.http://ongakuryouhou.gifulog.com/c340831.html

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