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コラム

2010年6月 1日 火曜日

食べる順番はまず野菜から  東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸院 院長  山田 篤

平成22年6月1日号


食後血糖値が高いと・・・
 糖尿病管理において、HbA1Cと共に食後血糖値が注目を集めています。
 なぜ食後血糖値だといいますと、食後血糖値が高いと糖尿病患者では大血管疾患のリスクが上昇することがわかっています。また、糖尿病でなくても 食後血糖を上昇させる炭水化物を摂取した時に出る大量のインスリンは内臓脂肪蓄積の原因になります。そのため、インスリンを分泌する膵臓の負担をかけないように、インスリンを大量に使わないようにするためには 、食後血糖値の上昇を穏やかに、高くならないようにコントロールすることが大事です。
 そこで、食後血糖値をコントロールするための第一の方法として食事療法が基本となります。

食事療法は食生活の改善が基本なのですが・・・
 食事療法は摂取するエネルギー量や炭水化物の量をコントロールすることが基本ですが、従来の食事療法の通りに行っているとはいえず、食後血糖値のコントロールが不十分となる場合があるため、食後血糖値をコントロールできるよう、簡単に食生活を改善できる方法が模索されています。

簡単に食生活を改善できる方法はあるのか・・・
 食生活を改善する方法として、高カロリー食品はなるべく避ける、野菜をたくさんとる、1週に3~4回は魚類のメニューにする、中には食後血糖値を上昇させないためにお米などの炭水化物の量を極端に減らす方法もあります。最後の方法は、確かに食後血糖値の上昇は抑えられますが、炭水化物から得られる栄養素が取れなくなりなり、代謝も低下するため、身体全体からみれば片手落ちと思われます。   
 そこで上記以外の方法の一つとして、最近、「食べる順番」によって食後血糖値の上昇を抑えられることがわかってきました。 


「食べる順番」が大事
 2010年2月発行された日本糖尿病学会「糖尿病」に、「食べる順番」についての論文が2つ記載されています。
 1つ目は「健康成人に野菜サラダと米飯の摂取順序を変えた時に、食後血糖値と血清インスリン値がどのように変化するのか1)」という論文です。

論文の結果・結論
 野菜サラダを先に摂取した方が米飯を先に摂取した場合に比べ、食後20~45分の血糖上昇値は有意に低下し、最高血糖値に到達する時間は約40分遅くなった。血清インスリン値も血糖値と同様に推移したため、食後のインスリン分泌が節約できる可能性が示唆され、野菜サラダは米飯よりも先に摂取するほうが食後の血糖上昇を抑制するために有効であるることが示された。

 では、糖尿病患者ではどうなのか?とうことで、2つ目は「2型糖尿病患者を対象に、野菜サラダを米飯の後に摂取した場合と米飯の前に摂取した場合の、摂取後の血糖値および血清インスリン値を調べた2)」論文です。

論文の結果・結論
 野菜サラダから先に摂取すると、米飯から先に摂取した場合と比較して、30分後、60分後の血糖値は低値を示し、インスリン値も30分後,60分後共に有意に抑制され、「食べる順番」を重視した容易な教育方法が食事指導に重要であると考える。

 以上の2つの論文から、野菜からまず食べると食後血糖値が抑制されることがわかりました。

なぜ野菜を先に食べるといいのか?
 ポイントは、野菜に多くの食物繊維が含まれていることです。

1. 食物繊維を多く摂取すると、食物繊維が消化管内で吸水してふくらみ、体積を増すため、胃から小腸への食物の移動速度が遅くなります。これにより、摂取した栄養素が希釈されることになります。
2. 水溶性の食物繊維のような粘着性を持つものは、消化管内で栄養素の広がりを抑制し、コレステロールや胆汁酸のような物質を吸収します。

 こうしたことが重なり栄養素の吸収が遅くなると考えられています。そして、野菜を最初に摂取することにより、食物繊維が上記のような状態で待ち構えている訳ですので、結果的に血糖値やインスリン分泌の上昇が抑制されると考えられます。
 また、食物繊維の多い食物を取ると長くかむことになり、唾液が増えたり、脳の満腹中枢が刺激されるので、お腹がいっぱいになりやすい状態になることも大事な要素です。

「食べる順番」はまず野菜から食べましょう
 糖尿病はもちろんのこと、ダイエットを含め日常の食生活において食事療法は続けることが必須です。今回の「食べる順番」という方法は簡単ですぐに取り入れられますし、指導する立場としても「野菜から食べることが大事ですよ」と指導し易い方法です。
 「食べる順番」はまず野菜から。食事で苦労されている方はぜひ取り入れ、健康で楽しく過ごして頂きたいと思います。

過去のコラムはこちらから。
平成15年1月
「鍼治療のススメ―鍼(はり)治療は糖尿病に有効か?―」
平成16年6月
「肥満と糖尿病」
平成17年11月
「鍼治療のススメ-鍼(はり)治療は糖尿病に有効か?その2-」
平成20年12月
「鍼治療のススメ-はり治療は糖尿病に有効か?その3-」


文献
1) 金本郁男ら.低 Glycemic Index 食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響.糖尿病53(2):96-101,2010 
2) 今井佐恵子ら.糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果.糖尿病53(2):112-115,2010

●お知らせ
 東洋医学研究所®グループでは、健康管理に「はり治療」が良いことを知って頂くために、地域医療に密着した形で講演、セミナーを開催させて頂いています。
 東洋医学研究所®所長の黒野保三先生をはじめ、東洋医学研究所®グループの各先生が、各々のテーマに沿った内容で分かり易くお話し致します。
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