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コラム

2010年9月 1日 水曜日

骨粗鬆症について  東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院 院長  河瀬 美之

平成22年9月1日号


はじめに
 骨粗鬆症は関節や筋肉の痛みを強くして日中の活動を低下させ、それによりさらに運動不足を招いて症状を悪化させるという悪循環を起こします。本来、骨粗鬆症は骨の生活習慣病と言われている理由はここにあると思います。将来、寝たきりになる可能性が高くなるため、注目されている病気のひとつです。
 そこで、骨粗鬆症に対する基礎知識と対処法、鍼治療の効果について述べてみたいと思います。

骨粗鬆症とは
 骨粗鬆症は「骨の量の低下と構造の脆弱化により強度が減少して骨折を生じやすくなった状態」といわれ、古くなった骨を破骨細胞が壊し、骨芽細胞が新しい骨を作るという骨代謝のバランスが崩れ、壊す働きが強くなったことにより、骨の内部構造が破壊されて骨がもろくなるものです。その結果、少しの衝撃で骨が折れる状態になるため、転倒による骨折の危険性が増し、大腿骨頚部骨折や椎骨圧迫骨折などを起こし、入院や手術などの処置の結果、安静にしすぎて筋力が衰え、さらに転倒しやすくなるという悪循環を招いてしまいます。その結果、寝たきりになる可能性が高くなり、これが骨粗鬆症の最も大きな問題になっています。

1)自覚症状
 自覚症状に乏しいのが特徴です。最近、身長が縮んだ(2~4cm)とか背中や腰が曲がってきたと思われる人は、立って背中を壁につけた時に頭がつくかどうかを確認して下さい。頭がつかない時には骨粗鬆症が進んでいるものと思われます。骨量測定により診断が可能です。

2)原因
①加齢・閉経
 加齢によりカルシウムの吸収が低下します。これはビタミンDの摂取不足が原因と考えられています。
 閉経により女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下します。エストロゲンは骨を壊す働きを抑える作用があるため、骨粗鬆症の患者の約8割は女性です。
②生活習慣
 日常生活では日頃からの運動不足があったり、偏食や過度の飲酒、喫煙、日光を浴びる機会が少ないなどがあると骨が弱くなるため、骨粗鬆症は骨の生活習慣病といわれています。また、若い頃から無理なダイエットを繰り返している人は将来、骨粗鬆症になる危険性が高まります。
③薬剤
 バセドウ病などの甲状腺機能亢進症や関節リウマチ、糖尿病などがあると病気自体やその治療が骨代謝に悪い影響を与え、骨粗鬆症を引き起こすことがあります。ステロイドは骨芽細胞の機能を障害したり、腸からのビタミンDやカルシウムの吸収を阻害し、その結果、骨がもろくなります。

骨粗鬆症の薬物療法
骨粗鬆症の治療に使用される薬には
①骨を壊す働きを抑える薬
②骨を作る働きを助ける薬
③骨を壊す働きと作る働きのバランスを整える薬
の3つがあり、骨量や骨折の有無などによって使い分けられています。
これらの薬全般には胃腸障害の副作用があったり、女性ホルモン製剤やそれに似た作用の薬の場合には、のぼせ、発汗などの更年期症状をはじめ、重い副作用として血栓症が知られています。

骨粗鬆症に対する対処法
 骨粗鬆症の予備軍では生活習慣の改善だけで骨量を維持することができることもあり、薬物療法を受けている場合にも生活習慣の改善を併せて行うことで薬剤の効果が増強するとされています。
1)食事
 骨を強くするように働く栄養素であるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKの3つを積極的に摂る必要があります。ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収率を高める作用があるので、これらを組み合わせて積極的にとるようにしましょう。
 骨の材料であるたんぱく質は高齢者では小食で摂取量が不足になりがちなので、意識してとる必要があります。
2)運動
 運動は骨に体重をかけることにより骨に刺激を与えることによりカルシウムを蓄え、丈夫にする効果があります。ウォーキングが望ましく、過度に行うことによる圧迫骨折などに注意しながら、徐々に歩く時間を増やしていくようにしましょう。野外で日光に当たりながら30分~1時間ほどできるとビタミンDが活性化されて効率よく骨を丈夫にします。
 転倒防止を目的に、筋力やバランス能力の維持も重要で、片脚立ちや軽めのスクワットなど室内でできる体操を心がけましょう。

骨粗鬆症に対する鍼治療
 骨粗鬆症がある患者さんは膝や腰などが痛いと言われる人が多く、これらの治療には薬の服用だけでは効果が少なく、むしろ前述した運動を行って骨や筋肉に刺激を与えて丈夫にした方がより効果的だと思います。しかし、痛みがあると歩くことができず、さらに運動不足になりがちです。そこで、鍼治療には膝や腰の痛みを緩和する効果があり、このことは過去の腰痛、膝痛のコラムで述べさせて頂きました。鍼治療により痛みを緩和して徐々に運動を開始することで、関節周辺の筋力が増強され、骨が丈夫になり、さらに痛みが緩和されてきます。鍼治療は骨粗鬆症に対して有効であるものと思いますし、結果として転倒防止にもなるものと思います。

おわりに
 骨粗鬆症の患者さんは「骨を強くする薬」をもらって飲んでいるとよく耳にしますが、副作用を考えると鍼治療がよいと思います。ただし、患者さん自らが努力する必要もあります。
 適度な運動は骨粗鬆症のみならず、生活習慣病の治療や予防にも効果がありますので、お勧めしたいものです。運動強度については患者さんひとりひとり違いますので、東洋医学研究所®グループの先生方にご相談下さい。

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