健康で長寿は人生の宝 東洋医学研究所®所長 黒野保三

平成23年1月1日号

東洋医学研究所®所長 黒野保三
 
謹賀新年 新年明けましておめでとうございます。
 本年も皆様にとりまして健康で楽しい年でありますように、私達は皆様の心と病を癒すことと健康と長寿のお手伝いができることを幸せに思い、一生懸命治療に励みたいと願っております。

 人は誰しも、健康で長生きしたい、病気になった時、少しでも早く治癒したいと願うことでしょう。
 健康とは、辞書には「身体に悪いところがなく、心身が健やかなこと」と書いてあります。また、鍼灸医学では古来より健康を養生としてとらえ、「生命を正しく養うことで心と身体を養うこと、即ち病いや死というものを含めて、あるがままに生きていくこと。自分の身体感覚に基づいて健康を作っていき、心と身体が一体となって豊かに生きられるようにすること。」をいい、養生訓という古典書が伝えられております。
 人間は古来より健康で長生きしたいと一生懸命努力してきました。
 昨今、健康ブームとなり、フィットネス・健康食品・健康グッズ等に費やす日本人のお金は13兆円にのぼるといわれております。そして「やせ薬」で4人の死者、健康被害は35都府県で658人と昨年報告されました。このように、過剰な使用や誤った考え方による被害は後を絶たず、増加しております。

 現代の健康ブームは経済成長の1970年代に始まったといわれ、健康不安をどう乗り越えるかということで、日本人が健康観を探るようになりました。
 例えば、点滴サロンに仕事の合間に訪れるサラリーマンが多くなっています。点滴の種類は10種類以上で、疲労回復・美容・老化防止等の目的に合わせて行なうというものです。
 1989年、総理府が行なった世論調査では「健康それ自体が人生の目的である」と考える人が国民の半数以上にのぼり、健康が日本人の最大の関心事となりました。そして半健康・生活習慣病として社会に認知されるようになってきました。
 私は昨今のメディアの健康情報に惑わされず、養生訓にしたがった健康法を指導しています。健康は自己管理ということを自覚して頂くことであり、健康な生活は良く食べて、良く動けて、よく眠れるということであります。
 「良く食べる」ことは、早寝・早起き・朝ご飯で、主食はご飯、みそ汁・卵・漬け物、食後の果物、そして副食は季節のもので自分で手を掛けて作ること、野菜・魚・肉等バランス良く食べることが大切です。そして量は、腹8分目が良いでしょう。

 「良く動く」の基本は朝の散歩です。これから散歩を始める方は最初10分の散歩を1週間続けること、2週目は20分くらい、3週目は30分くらいとして身体を慣らして行なって下さい。後はその人の体力に合わせて時間を延ばしていくと良いでしょう。決して急に多く歩くとか無理な運動は良くありません。あくまで散歩は体に負担がかからず、自分自身でコントロールができるので最適です。
  健康のための運動は歩くということが基本であり、毎日続けることが大切です。人は陰から弱くなると古典にも記載されております。身体の腰から上が陽で、腰から下が陰ですから、若い時から下半身を鍛えることが大切です。
 「よく眠る」基本は早寝・早起きで、理想的には夜10時に寝て朝6時に起床し、床から出ることであります。そして日中良く運動をして体温を一度高めておくことが良く寝るためには大切であります。また、規則正しい日常生活を行なえば、心身共に安定してよく眠れるようになります。

 
①                              ②
 
③                            ④
 
⑤                              ⑥
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 鍼治療の第一の基本は、上述の図に示したように予防医学であり、病気にならないように鍼治療を行なうことで「未ダ病マザル病ヲ医ス」ということであり、「未病治」とか「健康増進」とかいわれております。
 第二の基本は「病ヲ医ス」ということで、病気を治すこと及びこれ以上病気が悪くならないようにすること、病気の悪化を遅らせることであります。
 第三の基本は病気になった患者さんを早く社会復帰させること、生活を明るく楽しくおくるための生活指導や心が癒されるように指導することであります。
 ぜひ、鍼治療によって今年一年明るく楽しく暮らされることを願っております