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コラム

2011年10月 1日 土曜日

今そこにある危険を認識させるには  東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸院 院長 山田 篤

平成23年10月1日号



平成23年3月11日に発生した東日本大震災と大津波、それに伴う原発事故により、被災されました皆さまに心からお見舞い申し上げます。
東洋医学研究所®及び東洋医学研究所®グループでは、当地に避難された皆さまが少しでも元気になって頂くことを願って、鍼治療にてご支援をさせて頂いております。
 皆さまの安全と一日も早い被災地の復興を心からお祈り申し上げます。

「今そこにある危険」の時に判断を鈍らせる心理とは?

先日、東京女子大学名誉教授で災害心理学の専門家である広瀬弘忠先生のお話を聞く機会がありました。
災害時で異常だとわかっていても逃げ遅れてしまうのは何故か?というお話の中で、キーワードは「正常性バイアス」という心理でした。バイアスというのは心理学的に「偏見」「先入観」「思い込み」といった意味で、「正常性バイアス」とは、今、本当に危険な状態でも「危険だ」と思えなくて、根拠もなく「安全」だと思い込む、つまり、異常な事態が起こっていても、それを正常の範囲として捕らえ、情緒不安を回避するため正常だと思い込もうとして、心を平静に保とうとする働きのことです。
「正常性バイアス」自体は悪いということではありません。普段私たちは、危険の少ない社会で生活しているため、新しい出来事や変化などで危険を感じすぎると心が過剰に反応し、日常生活に支障が出てしまいます。そこで、疲弊しないために危険を感知する能力を下げようとする適応機能が働きますが、度が過ぎると、本当に危険な場合、時として最悪の結果を招くことになります。


医療の中の「正常性バイアス」
  「正常性バイアス」は災害時だけではなく、どの世界においても存在し、当然医療の中にもあります。
例えば糖尿病の場合、「このままだと糖尿病になる」「糖尿病合併症になる確率が高い」「場合によっては将来、失明、壊疽、透析などになり死に至るかも・・・」という認識はありますが、何か行動しないといけないとはわかっていても、現実には何もしていない場合があります。
そこに矛盾が生じるのですが、その矛盾を解決するのに「正常性バイアス」が強くなります。「全員が糖尿病になるわけではない」「糖尿病合併症になっていない人もいる」「だから、たぶん私は大丈夫」というように、自分に都合の良い言い訳を見つけ、心のバランスをとるわけですが、この何の根拠のない「思い込み」がある限り、行動に反映されません。


「正常性バイアス」を打ち破り、「今そこにある危険」を認識させるには

では、どうしたら「正常性バイアス」を打ち破ることができるのでしょうか?
先述の広瀬弘忠先生は「避難行動の開始には、個人や集団の特性が強く影響するので、それらを配慮した情報の提供や支援が必要」、また、「慢性的な刺激に対して如何に慣れずに意識できるか」と述べています。
つまり、危険に対して「危険」だと直感できるような訓練を日々しておくことが大切です。例えば、慢性的に同じような避難訓練をするのではなく、内容を変えたり、事前に連絡なしにするなど、都合の良い思い込みを超える意識付け、強烈な動機をもたせ、危機意識を目覚めさせることです。
医療を提供する側としても、患者の危険意識を目覚めさせ、疾病に対する抵抗力、判断力を高めさせるような指導や啓蒙活動ができるかどうかに、患者の今後が左右されます。
指導によっては、精神的、肉体的なマイナスの影響があるかもしれませんが、それを補って余りあるプラスがあるので、さまざまな手を使ってアプローチ、そしてフォローする姿勢が大切です。 「正常性バイアス」を断ち切り、果断な意思決定と行動力を発揮できる環境に心を置いておけるよう、「平常」から「非常」へ心を切り替えられるようする、日常の生活から感覚を磨くよう心がけるのが、「今そこにある危険」を認識させることになると思います。

参考文献
・広瀬弘忠. 人はなぜ逃げおくれるのか 災害の心理学. 集英社新書. 2004
・避難遅らす「正常性バイアス」 広瀬弘忠・東京女子大教授.
http://www.chunichi.co.jp/article/earthquake/sonae/20100501/CK2010050102000172.html
・防災・危機管理心理学 山村武彦. http://www.bo-sai.co.jp/bias.htm

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