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コラム

2012年5月 1日 火曜日

音楽について3 東洋医学研究所®グループ山田鍼灸治療院 院長 山田 耕

平成24年5月1日号

はじめに
 人生の謎、喜び、哀しみ、そして平安...こうした神秘的な経験を表現するのには、言葉よりも音楽のほうが適している。幾千の言葉を重ねたところで、文学は音楽にはかなわない。優れた音楽は、疲れた知性に清涼感を与え、そして悩める感情に慰めをもたらしてくれる。(ポール・ブラントン)

 当院は、主にクラシックをバックグラウンドでかけています。患者さんが「いい音楽ですね。」とよく言われます。その中で、患者さんが「私もこういう曲を聴くとすごく心が癒されます。」といってCDを持って来られる事がしばしばあります。
 前回、「音楽について2」で、音楽は人々に深い感銘を与え、安らぎを与えるかと思えば、男たちを戦場へと駆り立て、懐かしい音楽は記憶を回想させると書かせて頂きました。
 今回は、音楽と脳のかかわりについてご紹介させて頂きます。

音楽と脳
音楽を、単なる「音」ではなく、また「言語」でもなく、「音楽」として認識する脳のメカニズムは、まだ詳しくわかっていません。それどころか、ヒトが周囲の雑多な音の中からどうやって声や音を分離して聞き分けているのかなど、聴覚認知の基本的な仕組みすら未解明なことが多くあります。しかし、音楽と脳の関係については、音楽に関係する脳:側頭葉を電気刺激すると音楽を体験するなどの報告から、一次聴覚野を含む側頭葉が関係していることは確かです。

  好きな音楽を聴くと良い気分になるのは、脳内で快感伝達物質ドーパミンが大量に分泌されているためだということを、カナダ・マギル大学の研究チームの研究が米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」(電子版)に掲載されました。

 その研究では、好きな音楽を聴いてワクワクしているとき、被験者の身体活動は活発化し、脳内の線条体からドーパミンが分泌されることが分かりました。この反応は、好きな音楽を聴く前の期待感だけでも起こることも確認されました。
 一方、聴いても気分が盛り上がらない特に好きではない音楽を聴いた場合には、ドーパミンの分泌の活性化は見られませんでした。

  研究チームはさらに、脳内のどの部分が活性化するかを調べるため、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による検査を実施し、被験者の脳の血流量変化を調べました。すると、好きな音楽を聴くことを期待している段階では、脳の「尾状核」と呼ばれる部分が活性化することが分かりました。ところが、実際に音楽を聴いて興奮状態となると、今度は「側坐核」という部分が活性化しました。
 研究チームは、こうした結果が音楽に関心を持つヒト特有の性質を解明する手がかりになると期待を示しています。

生存本能に関わる脳内物質、なぜ音楽で活性化?
 ドーパミンは、おいしいものを食べたり、金銭など好ましい「二次報酬」を得たりした際に分泌される脳内物質。向精神薬の処方でも分泌され、ヒトの生存本能と深い関係があると考えられています。

 音楽があらゆる社会で好まれ、個人の楽しみや文化として受け入れられている事実は、この「報酬」理論で説明できます。しかし、音楽は抽象的なもので、必ずしも生存に不可欠ではなく、また「二次報酬」的なものでもありません。

 この点について研究チームは、「抽象的な刺激は文化や世代を超えて続き、たいていの人の生活の中で重要な位置を占めています。特に、抽象的な刺激に対する楽しい記憶は文化や個人の好みによりけりだ」とし、考えられる理由として、音楽によって喚起される「高揚感」「緊張」「予感」「驚き」「期待」などの感情が関与している可能性を挙げています。

 音楽にこんなにも心を動かされるのはなぜでしょうか。私たちの脳は音楽をどう処理しているのでしょうか。脳画像に基づく最新の研究から,その秘密が少しずつ見えてきました。

 意外なことに,音楽を処理する特別な「中枢」は存在しませい。音楽を聴くと脳のさまざまな領域が反応しますが,音楽の認識や情動的反応など,それぞれで関係する領域は異なります。音楽は脳全体にわたる多数の領域に関連していて,なかには通常は別の認知活動にかかわっているものもあります。

 また,その人にとって重要な音楽に対してはより敏感に反応するように,脳そのものが変化していきます。神経細胞が敏感に反応する周波数が,学習によって"調律"し直され,重要な音にはより多くの神経細胞が最適に応答するようになります。こうした細胞レベルでの調整が聴覚野全体にわたって起こり,以前よりも広い範囲の皮質で処理されるようになります。

 音楽に関連した情動については少なくとも2つの系が働いており,それぞれが異なるタイプの感情に対応しています。聴覚系がさまざまなパターンで活性化すると,そのパターンに応じて脳の両半球の異なる応答領域が特異的に働くと考えられますが,両者がどのように結びついているのかはまだわかっていません。

 ただ,音楽を聴くと非常な至福感を覚えるという音楽家の脳を調べた結果,食事やセックス,依存性薬物によって刺激されるのと同じ脳の報酬系の一部が音楽によって活性化していることがわかりました。
 音楽と脳に関する研究が進むにつれ,音楽とその存在理由に関する理解が進むだけでなく,音楽がいかに多様な側面を備えているかもわかってくるに違いありません。


人はなぜ音楽に感動するのか
 誰にでも心に残る音楽があります。楽しかったり、苦しかったりした体験と共に聴いた曲、親しい友人と一緒に聴いた曲を思い出と共によみがえったりすることがあります。人間が音楽によって感動を受けるのは、その人の様々な経験、知識、記憶などが絡み合い、教養などにも深く関係し独特の感動を引き起こします。

 また、人が音楽を聴いた時の脳の状態は、食べたり飲んだりした時のそれと非常に近いことがわかっています。音楽から得られる喜びは、生物としての基本的、本能的な喜びの回路と共通しています。つまり、音楽を聴くということは「自然の営み」です。

おわりに
 あまり音楽を聴かれない方や興味がない方もカラオケで歌ったり、クラシック名曲集などお聴きになられるなど、音楽と接してみられてはいかがでしょう。
 東洋医学研究所®の治療室では、様々な訴えを持った患者さんが多く来院されます。そこには、ピーンと張り詰めた緊張感の中で黒野保三先生が診療を行われ、スタッフの先生方も一生懸命に診療に従事しています。患者さんも一生懸命で、治してもらおうと来院されています。これは、黒野保三先生が醸し出す、人間性という無音の音楽かもしれません。
 東洋医学研究所®グループの先生方も黒野保三先生を見習って、一生懸命鍼治療を行っています。痛みが無く副作用の無い、疾病の予防となる全身の調整を目的とした 鍼治療(黒野式全身調整基本穴)を受けてみてはいかがですか。

文 献
1.茂木健一郎:すべては音楽から生まれる
2.須藤伝悦:モーツァルトが求め続けた「脳内物質」
3.http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/index.html
4.http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-
technology/2782051/6649913

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