東洋医学研究所Ⓡ黒野保三所長の研究が自律神経雑誌に原著論文として掲載されました。

日本自律神経学会雑誌の自律神経49巻4号に東洋医学研究所Ⓡ黒野保三所長の研究が原著論文として掲載されました。
腹部の経穴に鍼刺激(筋膜上圧刺激)を行うことによって心臓迷走神経の亢進を証明した世界で初めての論文になります。

日本自律神経学会ホームページから雑誌の詳細がご覧になれます。

抄録:鍼治療は機能性胃腸炎をはじめとする消化器症状の治療法として使用している。鍼の治効メカニズムを研究する上で鍼刺激に対する自律神経反応を調べることは重要である。そこで、腹部鍼刺激に対する自律神経反応の客観的評価が可能が否かを、心拍変動(heart rate variability:HRV)解析を用いて検討した。12名の被験者に対して、筋膜上圧刺激による腹部鍼刺激を行い、鍼刺激前後の心拍変動の変化を調べたところ、鍼刺激前後で心拍数は減少(p=0.0002)し、心臓迷走神経活動の指標であるHF成分は増加し(p=0.0007)、心臓迷走神経と交感神経活動の指標であるLF成分は増加した(p=0.0005)。交感神経の指標であるLF/HFは有意な変化を示さなかった。HRV解析により腹部鍼刺激に対する自律神経反応を客観的に評価できること、および同刺激により心臓迷走神経活動が亢進することが証明された。

キーワード:鍼、筋膜上圧刺激、心拍変動、自律神経、心臓迷走神経

黒野保三,各務壽紀,皆川宗徳,石神龍代,山田篤,早野順一郎.心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価-腹部鍼刺激に対する自律神経反応の評価-.自律神経雑誌.2012;49(4):251-256