活動内容

2013年2月 9日 土曜日

(公社)生体制御学会第262回定例講習会に参加しました

平成25年2月3日(日)
(公社)生体制御学会第262回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)
9:20~9:30
第17回(平成24年度)愛知県鍼灸生涯研修会における(財)東洋療法研修試験財団発行の生涯研修終了証書の授与が行われました。

9:30~10:20  基礎生理学
 「心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価」
(公社)生体制御学会研究部長  
皆川宗徳 先生

今日は皆川宗徳先生より鍼刺激が自律神経を調節する最新の研究をお話しいただきました。
黒野保三先生の「心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価-腹部鍼刺激に対する自律神経反応の評価-」と題した論文が日本自律神経学会の自律神経雑誌Vol.49 No.4に掲載されました。この論文では腹部鍼刺激が及ぼす自律神経への影響について、心拍変動解析を用いて評価しており、世界で初めての報告になります。
 「海外では『鍼刺激は自律神経に影響しない』という流れになっています。しかし、黒野先生の研究では『鍼刺激は自律神経を調節できる』結果が出ています。どうして正反対の結果がでたのでしょうか?
この大きな原因として、刺激の強さが挙げられます。海外では、鍼刺激の方法は『得気』という、鍼刺激による『しびれ感』、『重い感じ』、『放散する感じ』、『しめつけられる感じ』を目的としています。2010年に報告された『鍼と心拍変動、一定基準の論文を読む』では12件のRCT(ランダム化比較試験)のうち、9件において『得気』を目的とした刺激方法であり、ほとんどが強い刺激方法でした。この報告において『鍼刺激は自律神経に影響しない』という結論に達してしまいました。
それに対して、黒野先生は2011年、オートノミックニューロサイエンス誌に『ダン中(CV17)への鍼刺激は心拍変動の心臓迷走神経成分を増加させるが、中庭(CV16)への刺激では増加しない』と題して、鍼刺激は副交感神経を亢進させることを報告しています。その時、海外の論文査読者に『単刺術』という言葉を説明するのに『筋膜上圧刺激』という造語をつくって、過去の研究、治療動画を見せてようやく認められたという経緯があります。この『筋膜上圧刺激』の定義は『鍼を垂直に筋膜の表面の深さまで刺入し、筋膜に20gの圧力を加える(筋膜は貫かない)方法』となっています。
この『筋膜上圧刺激』の裏付けとして黒野先生は40年以上前より研究されています。長年の研究の上に現在の研究があり、この基盤があるからこそ、『鍼による筋膜上圧刺激は自律神経を調節する』ことを自信をもって言うことができるのです。」というお話しがありました。


10:30~12:00 痛みの基礎 (社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座 
「痛みとこころ」

名古屋市立東部医療センター名誉院長
(公社)日本女医会会長
津田 喬子   先生

今回は、痛みと心の密接な繋がりについて教えていただきました。
1644年にデカルトが痛みの経路について言及し、20世紀後半には痛みの経路がほぼ解明されました。現在はfMRI(機能的磁気共鳴画像)を用いて脳と痛みについて研究がさかんに行われています。例えば、脳には痛みを感じた時に反応する場所があります。また、痛そうな画像、注射している画像などを見せると「痛みを感じた時に反応する場所」が同じように反応することがわかっています。痛みと心は切っても切れない関係にあることが研究でもわかってきています。
また、痛みは感覚的側面と情動的側面の両方を持っています。感覚的側面の痛みは比較的わかりやすいのですが、情動的側面の痛みは訴えても非常に伝わりにくいものです。身体的痛みの他に疎外感、ねたみ、不公平な扱いを受けたときなどは痛みが強くなり、身体的喜び、よい評判、慈善活動などは幸福感が得られ、痛みの感じ方が弱くなったり、なくなったりすることがわかっています。そして、痛みのしくみには脳と心が密接に関連していることを痛みの治療に従事する医療者は理解することが重要です。痛みの治療で重要なことは次の4つであるとおっしゃられました。
1.主体を患者さんにおき、患者さんの話をよく聴くこと。
2.患者さんと話しあうこと。
3.治療を通して治療者は患者と、患者は自分自身と向き合うこと。
4.痛みの意味、新しい自分を見つけること。
というように、患者さんのことを第一に考えて、患者さんの心の持ち方を正しく導けるようにすることが重要であるとのことでした。痛みは何かに熱中したり、楽しむ工夫を身につけていくことで、無意識に痛みを忘れ動きやすくなります。痛みがあって日常生活に影響が出ることがありますが、痛いから動かないのではなく、その痛みに対する考え方を改めることが大切なのです。
また、2012年の最新の腰痛ガイドラインにおいても、ストレスを減らす認知行動療法の大切さが書かれています。また、腰痛の大部分が画像検査は必要ないことが書かれており、これは患者さんときちんと話して問診から腰痛の原因を探り、徒手検査によって腰痛の原因を特定していくことが大切であることを教えていただきました。

13:00~13:50 疼痛疾患の基礎・臨床、診断と治療
「腰痛に対する徒手検査について」

(公社)生体制御学会研究部疼痛疾患班班長
河瀬 美之 先生

今回は、「腰痛に対する徒手検査」について、生体制御学会ホームページからダウンロードできる「腰痛に対する徒手検査記録表」に沿って、徒手検査の実技を行ないながら、徒手検査の際の注意点などについて詳細な説明がありました。

14:00~14:50
疼痛疾患に対する症例報告
「腰下肢痛に対する鍼治療の検討
―薬剤の副作用の可能性がある自律神経失調症症状を伴った一症例―」
                     
臨床鍼灸医学研究会会員    
近藤  利夫  先生

今回、腰椎すべり症と診断され、服薬治療をしたものの腰の痛み・足の痺れが良くならず、薬の副作用で体調を崩した患者に対し鍼治療を行ったところ、腰下肢の痛みや痺れの軽減と服薬を中止でき、体調が回復した症例についてスライドと資料に基づいて詳細に報告していただきました。

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投稿者 東洋医学研究所

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