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コラム

2014年4月 1日 火曜日

記憶の不思議2 ~あなたは7つ覚えられますか?~ 東洋医学研究所®グループ いちえ鍼療院 院長 内藤 真次

はじめに
聖徳太子という方は10人の訴えを聞いても間違えることはなかったということを聞いたことがありますか?信じられないようなお話ですが、私たちは10人といわず2,3人でも同時に聞いたり話したりすることはとても難しいと感じます。
また、時には一人の相手にさえ、受け答えに困ってしまう時があります。それは、コンピューターの画面に向かい急な作業をしているときに電話がかかってきた場合など同時に他の作業を行うときです。画面を見ながらでは相手の言っていることがよく分からない、相手の話すことが途切れがちに聞こえ、先に聞いた内容をすぐに忘れてしまうのです。これではとても会話にはならず、相手の話した内容をその度に聞き直さなくてはならないことになってしまいます。
これは、会話をするときには相手の話す内容をしばらく覚えておく必要があるためです。コンピューターの画面を見て作業しながらですと、相手の話すことを覚えることも、聞き取ることも難しいのです。
一体脳はどれだけのことを一時的に記憶できるのでしょうか?今回は短期記憶についてお話しいたします。

短期記憶と長期記憶
私たちが、保持期間の違う短期と長期の2種類の記憶を持っていることは、19世紀末にわかりました。米国の心理学者ウィリアム・ジェームスは、人間には過去の記憶の他に、ほんのわずかの間だけ保持しうるような記憶システムがあると考えました。彼は人間の記憶を一次記憶と二次記憶という2つの種類に区別して考えることを提案しました。過去の経験や出来事などが保持されている記憶システムは二次記憶としたうえで、これとは異なるごく短期間の記憶を一次記憶と定義したのです。 
30秒から数分間の一時的な記憶を短期記憶(一次記憶)といいます。電話帳を見ながら電話番号を暗唱してダイヤルするときや、暗算を行うときなど必要な部分を一時的に蓄えておく記憶です。
もう一つの長期記憶(二次記憶)は色々な種類があり、過去の自分の経験や出来事に関連した想い出を記憶しているエピソード記憶、そして単語や言葉などの意味記憶、さらには、自転車の乗り方や箸を使うなどの感覚や身体で覚えている手続き記憶と呼ばれる身体の記憶もあります。
  
短期記憶の容量
短期記憶はどれだけでも覚えられるわけではありません。容量には制限があり、私たちが一度に記憶できる内容はきわめて限定されているのです。
たとえば、数字であれば、いったいいくつまで記憶することが出来るでしょうか。これについてはランダム(不規則)な数字などを聞かせて直ぐに言わせてみることにより、一度に記憶できる数、いわゆるメモリスパン(記憶範囲)を測定することが出来ます。
アメリカの心理学者ミラーは、1956年に「不思議な数7±2」という論文を発表しました。一度に覚えられるメモリスパンには制限があり、個人差はありますが、成人ではだいたい5つから9つ、平均すると一度に約7個まで記憶することが可能であるといいます。

図1には、5~9桁の数字が書かれています。上から順番に一列ずつ一度声に出して読み、直ぐに目を閉じ再び同じ数字を暗唱してみてください。5桁の数字は簡単にできると思います。7桁以上が暗唱できれば短期記憶は良いといえます。


メモリスパンはアルファベットでもやはり7±2になるといいます。
それでは次のような場合はどうでしょうか。
       IBMNHKNTTFBI
これは12個のアルファベットを並べたものですが、12個はメモリスパンの7±2を超えています。しかし、このアルファベットは、IBM   NHK   NTT   FBI というように、3つずつ並べてみるとそれぞれがまとまりを持っています。つまり、メモリスパンは、ある時は数字の一桁、ある時にはアルファベットの3文字のまとまりというように、単位の大きさが変化するのです。このような不思議な項目の単位をミラーはチャンク(chunk)と呼びました。最近になって、一度に記憶できるチャンク数は、約4チャンクであるという報告もあります。電話番号なども市外局番-市内局番-加入者番号というように構成されています。このように多くの数字もまとまりを付けるとたくさんの数字でも覚えやすくなるのです。

おわりに 
私たちは生活の中で、会話だけではなく、買い物や本を読む時など、情報を頭で処理しながら、内容をほんのわずかの間だけ覚えておかなければならない場面がたくさんあります。このような場面で、一時的に必要な事柄を保持する働きをしているのが、短期記憶なのです。
 また、短期記憶は情報を保持するだけでなく、既に学習した知識や経験を絶えず参照するときにも、非常に重要な働きをしているのです。
短期記憶は、情報を頭の中で何回も繰り返し唱えることを絶えずおこなっていないと、20秒くらいで忘れてしまいます。大切な用事は素早くこなしてしまうか、忘れないように繰返し頭の中で唱えておかなければなりません。
 記憶は繰返し覚えることが一番大切なのです。

引用文献
二木宏明:脳と記憶.共立出版.1989.9
苧阪満里子:ワーキングメモリ.新曜社. 2002.7

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