お知らせ (公社)生体制御学会第274回定例講習会に参加してきました。

平成27年3月1日(日)(公社)生体制御学会第274回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。

(公社)生体制御学会第274回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

9:30~10:20 基礎生理学 
「平滑筋について(3)」
名古屋市立大学大学院医学研究科細胞生理学 研究員
(公社)生体制御学会教育部長      
福田 裕康  先生 

今回は、平滑筋についての3回目として末梢循環と小さな血管の機序について教えていただきました。
「モルモットから摘出した胃平滑筋標本から1回の平滑筋が動くまでを調べると、刺激があると電気で伝わります。すると細胞内カルシウムの濃度が高くなり、平滑筋が収縮します。
内皮細胞からEDRF(内皮細胞由来弛緩因子)、EDHF(内皮細胞由来過分極因子)、プロスタサイクリンが分泌して平滑筋細胞を弛緩させます。
EDRF(内皮細胞由来弛緩因子)の特徴の1つに内皮細胞から放出されて血管平滑筋を過分極させて弛緩させる作用があります。これは大動脈などの大きな血管よりも小さい血管に関与が大きい物質になります。
平滑筋と内皮細胞を分ける実験をして、バリウムを入れると平滑筋と内皮細胞の活動を区別できるようになりました。また、他の実験ではニトロ舌下錠は太い血管の働きが良くなることがわかりました。また、カルシウム蛍光支持薬であるFura-2は時間に応じて内皮細胞と平滑筋が区別できることがわかりました。
最近では、モルモット頸骨微小血管における収縮特性の実験を始めており、これは自律神経に関与していて鍼刺激の機序の解明の一端になると思います。」とお話し下さいました。

10:30~12:00痛みの基礎 
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
「覚醒を司る青斑核と鍼鎮痛の神経機構」
自然科学研究機構生理学研究所神経シグナル研究部門准教授  
古江 秀昌 先生 
                  
今日は痛みの感じ方についてお話しをいただきました。
「覚醒の反対は睡眠です。起きている時の痛みと寝ている時の痛みは違いがあるのでしょうか。その答えは広辞苑に載っており、「睡眠」を引くと、外的刺激に対する反応が低下することが書かれています。
痛みに対する生体反応は2つあり、屈曲反射と血圧が上昇します。屈曲反射は痛みから遠ざけようとする行動です。血圧上昇は、交感神経を介した循環系が反応しておこり、この2つの反応は体を防衛するためにおこります。
痛みを判定する1つにvon Frey testというものがあります。これは、フィラメント(針のようなもの)を垂直に曲がるまで体に押しつけて、痛みを感じる時の強さを記録する測定器具です。これを使うことでどのくらいの力で痛みを感じるのかの最小単位、閾値などを計ることができます。「肩が痛い」と言っても他人にはどのくらい痛いのかわかりません。それを数値で計ることができます。
正常ラットは26gで痛みを感じます。痛みが過敏になっているラットは、正常ラットでは痛みを感じない0.4gで痛みを感じます。慢性疼痛の方、注射が怖くて子供が泣いているときなどは神経過敏になって痛みを強く感じます。精神が痛みの強さを増強させるのです。これは、交感神経がノルアドレナリンを放出することで痛みが過敏になります。
逆に過度の興奮時は痛みを感じない現象が起こります。レーガン大統領は、拳銃で撃たれたとき、過度に興奮していたので撃たれたことに気づかず、のちに9mmの玉が胸から取り出されました。この過度の緊張状態で痛みを感じない現象は、スポーツ選手や修行者の方にみられる現象です。これは、青斑核の活動が亢進することにより、脊髄で痛みの抑制がおこり、鎮痛に至ることがわかっています。鍼治療をするとこの青斑核の活動が亢進することがわかってきています。」ということをお話し下さいました。

                                                         

フィラメントについて説明をされる古江秀昌先生

13:00~13:50 疼痛疾患の基礎・臨床、診断と治療
「膝痛に対する徒手検査の実技」
(公社)生体制御学会広報部長
(公社)生体制御学会研究部疼痛疾患班班長  
 河瀬 美之 先生 

「膝痛に対する徒手検査」について、「膝痛に対する徒手検査記録表」に基づいて、疼痛疾患班班員の指導のもと、班に分かれて徒手検査の際の手順や注意点などについて実技を交えての説明がありました。
       


実技風景

14:00~14:50 疼痛疾患に対する症例報告及び症例検討
「自律神経と疼痛」
愛知漢方鍼医会代表
高橋 清吾  先生

今回は「自律神経と疼痛」と題して、自律神経と痛みの関連についての解説と東洋医学的な視点から臨床の経験を踏まえて報告がありました。

このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。