• 膨大な臨床鍼灸の研究実績
  • 91.9%の効果を実証
  • 早い・短い痛くない治療

コラム

2016年2月 1日 月曜日

皮膚と発汗 東洋医学研究所®グループ 二葉鍼灸療院 院長 角田 洋平 平成28年2月1日号

はじめに
2月に入り、冬の寒さも一層厳しくなかなか外に出づらくなっているのではないでしょうか?年末年始に食べ過ぎた事に後悔しつつもなかなか体を動かさないでいる、といったところでしょうか。
冬の寒さもそうですが、秋から冬にかけて起きる空気の乾燥もまた厄介な現象の一つです。空気の乾燥で静電気が起きたり、喉を痛めて風邪をひいたりしますが、女性の方は特に肌の乾燥によるダメージが気になるところだと思います。なかなか積極的に動かない時期ですので汗をかくことも少ないかと思いますが、汗は肌に潤いを与えるこの時期にはとても有難いものです。
今回はそんな汗と皮膚との関係についてお話したいと思います。

汗の種類
まず、汗の種類についてですが、汗をかく場面を思い浮かべてみましょう。運動する際に体が温まってくると出てくる汗、夏の真昼間に外に停めていた暑い車の中に入った時にしたたり落ちる汗、これらの場面でかく汗を温熱性発汗といいます。これは体の中の深部体温を一定に保つために体を冷やす目的で流す汗です。人間の深部体温はほぼ37℃に保たれており、もし体温が上がって、汗で冷やせず深部体温が40℃まで上がってしまうと疲労困憊で動けなくなってしまうといわれています。そうならないように汗で体の熱を放散し体温を維持します。
次に緊張した時など、グッと握った手のひらを見るとじんわり汗をかいていることがあります。これを精神性発汗といい、手のひらや足の裏にかく汗です。その昔、私たちの祖先が外敵に襲われそうになった時に素早く逃げたり木に登って避難するために発達した機能といわれています。
その他に唐辛子などの辛い物を食べた時にカプサイシンを摂取した反応として出る味覚性発汗など、状況によってかく汗にも幾つか種類があります。
では、その汗が皮膚にどのように作用するのでしょうか。

汗の作用
運動などをして体温を上げて、汗をかくことで皮膚の角層の水分量が上昇します。そして角層にある保湿成分と結びつき、潤いのある皮膚になります。
また、汗は皮膚の表面に住み着いている皮膚常在菌の好物でもあるので、常在菌がよく働く状態の良い肌になっていきます。常在菌は、病原性のある細菌から皮膚を守ったり、皮膚から分泌される皮脂の過酸化によって生じる活性酸素を分解しその毒性を弱めてくれます。
さらに汗そのものにも抗菌作用のある免疫物質が含まれており、汗をかく事で皮膚表面は良好な状態になっていきます。
乾燥しやすい今の季節、積極的に汗をかくのはスキンケアとしても非常に有効なのです。

アトピー性皮膚炎と汗
アトピー性皮膚炎の患者さんの中に「汗をかくとかゆくなったり、症状が悪化したりするから」と、入浴や運動を避けている方がいます。確かに、汗の中には炎症を起こし、かゆみを生じる物質も含まれていますが、続けて汗をかいているうちにそれに慣れてきて、むしろ汗の良い面が出てくるようになります。逆に、汗をかきにくいことによって、体内に熱がこもりやすくなっていることが、かゆみを悪化させる原因にもなります。
前述した通り、人間は体内温度が上がると汗をかき、汗を蒸発させることで熱を放出します。ところが、アトピー性皮膚炎の患者は汗をかきにくく、毛細血管は皮膚温を低下させようと精一杯開いているのに汗をかけないので、体温は上がり、肌が赤くみえます。
かゆみの感覚は、37℃の体温でもっとも敏感になるとされています。体温が上がりかゆみが増し、症状が悪化してしまうのです。
また、汗をかかないと、角質層の水分量が不足し、肌はカサカサになり、バリア機能は低下してしまいます。
人間の汗には、皮膚に有益な働きがあります。それをよく認識し、積極的に汗をかきましょう。汗をかいたら、入浴したり濡れたタオルで汗を拭きとるなど、汗の処理をしっかりしてかゆみを防ぎしましょう。

おわりに
今回、汗と皮膚についてお話しさせて頂きました。現代では年間を通して空調が完備され、快適に過ごすことができます。また、いちいち風呂を沸かさなくても、シャワーを浴びることができ、入浴によって汗をかくという機会を減らしています。本来備わっている機能を賦活化させるためにも汗をかく機会を作っていくのは大切なことです。
汗をかくという事には自律神経が関与しており、その調整には鍼治療が有効です。
私自身アトピー性皮膚炎があり、皮膚の状態が悪化していた頃、同様に汗をあまりかけませんでした。しかし鍼治療を続けた事で汗をかきやすくなり、熱っぽさが抜けて皮膚の状態も良くなっていった事を覚えています。
乾燥が気になる方は、車ではなく、歩いて一汗かいて鍼治療を受けにいってみるのもいいのかもしれません。


引用・参考文献
・塩原哲夫.アトピー性皮膚炎と発汗.別冊医学のあゆみ アトピー性皮膚炎.2009.
・井上芳光.老若男女の発汗機能.生活科学研究誌.vol9.2010.
・青木皐.人体常在菌のはなし .集英社新書.2009.
・山口創.皮膚という「脳」.東京書籍.2010.

このエントリーをはてなブックマークに追加

カレンダー

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のブログ記事

月別アーカイブ