糖尿病通信13 糖尿病と癌

○日本人の死亡原因1位は?
厚生労働省は、平成27年の死因順位1位は悪性新生物(癌)と報告しています。
癌発生と生活習慣の関わりはよく言われていますことですが、糖尿病もまた生活習慣との関連はとても深く、また、医学界でも糖尿病と癌の関連性はホットな話題の一つです。
今回は、糖尿病と癌についてのお話です。

○糖尿病があると癌になりやすい?
日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会は、以下のように報告しています(2013年)。
・糖尿病のある人とない人では、ある人が癌になる確率が1.2倍高い。
・糖尿病のある人がない人と比較して、ある人では特に大腸癌(1.4倍)、肝臓癌(1.97倍)、膵臓癌(1.85倍)、子宮内膜癌(1.68倍)、卵巣癌(2.42倍)で癌になる確率が高い。
特に膵臓癌ではこの30年で死亡率が約8倍に増加し、既往歴に糖尿病が多いことがわかっています。また、糖尿病のある人はない人より癌で亡くなる確率も高いこともわかっています。

○糖尿病があると何故癌になりやすい?
インスリンの効きが悪くなると、それを補うためインスリンが過剰に分泌され、血中に余剰なインスリンが有り余ってしまいます。インスリンは血糖値を下げるだけではなく細胞を成長・増殖させますので、余剰にインスリンがある状態だと、癌細胞も増殖してしまい、癌転移も引き起こします。それにより肝臓や膵臓だけでなく、他の癌のリスクも高まります。
また、高血糖自体も発癌につながる可能性がありますし、癌細胞の増殖に大量の糖が必要なため、慢性的な高血糖は癌細胞の増殖の手助けをする可能性もあります。

○危険因子を改善してリスク減少を!
糖尿病と癌の共通危険因子は、加齢、男性、肥満、低身体活動量、不適切な食事(赤肉、加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、過剰な飲酒、喫煙です。
上記の危険因子を改善し、慢性的な高血糖を抑えれば癌のリスクの減少につながる可能性があります。

まずは慢性的な高血糖を放置せず、生活習慣の改善を!

                  (文責:山田 篤)