糖尿病通信14 糖尿病と癌 その2

○糖尿病があると癌になりやすい
日本人の死因の1位は悪性新生物(癌)でありますが、生活習慣によって癌になるリスクは変化することはよく知られています。
糖尿病は生活習慣病の代表的な一つで、糖尿病がある人はない人に比べて癌になるリスクは約1.2倍です。特に大腸癌、肝癌、膵癌になる確率が高いと報告されています。

○ヘモグロビンA1cとの関連は?
HbA1cは過去1~2ヶ月の血糖値を反映しますので、「血液中に必要以上に余った糖が、長い間かけてじわじわと身体中をおかしくする」という糖尿病を把握するにはもってこいの検査です。
糖尿病が癌のリスク因子であるとすれば、HbA1cが高いと癌になりやすいと考えても良いと思われますが、果たして本当に?・・・というのが、今回のお話です。

○結果は如何に・・・
日本人がどの様な生活習慣が疾病の発症に関連しているのかを明らかにすることを目的としたJPHC Studyとうい研究があり、その中でHbA1cと癌との関連について次のように報告されています。
HbA1c 5.0~5.5%を基準とすると、癌になるリスクが6.0~6.5%では1.28倍、6.5%以上では1.43倍でした。特に、大腸癌、肝癌、膵癌は糖尿病がある人と同様にHbA1cが高くなればリスクも高くなります。

○慢性的な高血糖は癌になるリスクを高める
今回の報告から慢性的に血糖値が高いと癌になりやすいということが裏付けられました。
メカニズムとしては、高血糖により有害な作用が起こり、修復する生体の作用との間で均衡が崩れることで発がんに繋がる可能性、また、癌細胞の増殖に大量の糖が必要なため、癌細胞の増殖の手助けをする可能性があります。
今回の報告のもう一つのポイントは、糖尿病の診断基準ではHbA1cは6.5%以上でありますが、それ以下の非糖尿病の6.0~6.5%でも癌になるリスクが高くなっていることです。

○癌予防のために
慢性的な高血糖はもちろんのこと、糖尿病でなくても血糖値が高めの人は癌になるリスクが高いということがわかりました。
糖尿病を予防することは癌予防にも繋がりますので、日々の生活習慣を見直しては如何でしょうか?
ちなみに、HbA1cは癌のリスクと同様に心血管疾患リスクとも関連してます。   

文責:山田 篤