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コラム

2016年5月 1日 日曜日

アメリカではアレルギー性鼻炎患者の18%が鍼治療を受けています   東洋医学研究所Ⓡグループ井島鍼灸院 院長 井島晴彦 平成28年5月1日号

はじめに
アレルギー性鼻炎はくしゃみ、鼻水、鼻づまりを3大症状とするⅠ型のアレルギーです。アレルギー性鼻炎には通年性と季節性(代表的なものに花粉症)があります。日本におけるアレルギー性鼻炎患者数の全国的な調査としては、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査があります。それによるとアレルギー性鼻炎の有病率は39.4%であり、その中でスギ花粉症の有病率は26.5%でした。同じような調査が1998年にも実施されており、スギ花粉症の有病率は10年間でおよそ10%増加していました。日本において花粉症は、もはや国民病とも言えそうです。
近年、このようなアレルギー性鼻炎に対する鍼治療の効果を検討する研究が海外で盛んに行われています。また、そのような結果を受けて、アメリカで「アレルギー性鼻炎に対する臨床診療ガイドライン2015」が発表され、そこに初めて鍼治療が掲載されました。
今回は、海外におけるアレルギー性鼻炎に対する鍼治療の研究や現状についてご紹介したいと思います。

アレルギー性鼻炎に対する鍼治療のシステマティックレビューが報告されています
システマティックレビューとは、世界中の研究データ(論文)をくまなく探して、内容をまとめ、大きな結論を出したもので、「この治療法は本当に効果があるのか?」を証明するエビデンス(科学的根拠)としては、もっとも信頼できるものだといわれています。
アレルギー性鼻炎のシステマティックレビューは、中国の研究者により2015年に報告されています。
その方法は、アレルギー性鼻炎患者に対する鍼治療の有効性と安全性を評価するために、1980年から2013年までの学術論文を調査し分析したものです。
その結果、最終的に13の論文が研究の対象となり、鍼治療の方法や評価法などに曖昧な点は残りますが、鍼治療はアレルギー性鼻炎患者のための安全で有効な治療法の一つであったと述べています。
その13の論文は、イギリス、ドイツ、オーストラリア、イタリア、スウェーデン、中国、韓国などで研究されたものですが、この中のドイツで行われた、花粉症患者に対する鍼治療に関する研究を紹介します。 

花粉症患者に対する鍼治療 
この研究は、ドイツの研究者により2013年に報告されています。研究の方法は、花粉症患者を、真の鍼治療+薬物群、にせの鍼治療+薬物群、薬物単独群の3つの群に分け、その8週間後の花粉症症状の変化を評価しました。
その結果、真の鍼治療群は、にせの鍼治療群や薬物単独群と比較して、8週間の治療により生活の質を改善し、抗ヒスタミン薬の使用量を減らしていることを報告しました。
また、このドイツの研究報告の中に「アメリカにおいては毎年12億ドルがアレルギー性鼻炎に対する薬物と予防措置で費やされています。そして、西洋医学的な治療の進歩や治療のためのガイドラインができたにもかかわらず、多くの患者は、アレルギー性鼻炎の症状に対し補完代替医療を求めています。アレルギー性鼻炎患者が生涯で補完代替医療を使用する割合は推定で27%~46%の範囲であり、そして、アレルギー性鼻炎患者の約18%が鍼治療を受けています。」と述べられています。
 
アメリカの「アレルギー性鼻炎に対する臨床診療ガイドライン2015」に鍼治療が初めて掲載されました
2015年にアメリカにおいて、アレルギー性鼻炎に対する新たな臨床診療ガイドラインが発表され、そこに鍼治療が初めて掲載されました。
「アレルギー性鼻炎に対する臨床診療ガイドライン2015」の13章には、鍼治療に関して「1件のシステマティックレビューと以後のいくつかの大規模な研究から、鍼治療が通年性アレルギー性鼻炎患者の生活の質を改善したことが分かりました。そして、初期の研究であるシステマティックレビューは、花粉症に対する鍼治療の有益性を見出せませんでしたが、その後の大規模な研究では花粉症患者に対する鍼治療の有益性を見出せました。その上、鍼治療が安全な治療法であることが分かりました。したがって、薬を使用しない治療法に関心をもっているアレルギー性鼻炎患者にとって、鍼治療はひとつの選択肢として考えられます。」と述べられています。

おわりに
最近では、日本国民の40%以上が、アレルギー性鼻炎であると言われるようになりました。鍼灸院に来院される患者さんの多くが症状に苦しんでおられます。(公社)生体制御学会生体防御免疫疾患班のメンバーである東洋医学研究所Ⓡグループでは、東洋医学研究所Ⓡ所長の黒野保三先生のご指導のもと、花粉症に対する鍼治療の効果に関する研究を行い、(公社)全日本鍼灸学会で報告しました。
その内容は、2005年から2009年までの5年間にわたり、日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ) No.1、No.2を用いて、花粉症に対する鍼治療の効果を検討したところ、すべての年度において花粉症症状による体の調子に改善傾向がみられ、特に目の症状に改善がみられたことを報告しました。
東洋医学研究所®グループの先生方は、それらのデータを花粉症の治療に役立てて、症状の緩和をはかり、患者さんに喜んで頂いております。是非、一度御相談してみて下さい。 

引用・参考文献
・鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会「鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症― 2016年版(改訂第8版)」ライフ・サイエンス:2015;8-13.
・馬場廣太郎ほか「鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として―」Prog Med:2008;28:2001-2012.
・Shaoyan Feng;Miaomiao Han; Yunping Fan; Guangwei Yang; Zhenpeng Liao; Wei Liao; Huabin Li.Acupuncture for the treatment of allergic rhinitis:A systematic review and meta-analysis.American journal of rhinology & allergy:2015;29:57-62.
・Benno Brinkhaus; Miriam Ortiz; Claudia M Witt; Stephanie Roll; Klaus Linde; Florian Pfab; Bodo Niggemann; Josef Hummelsberger; András Treszl; Johannes Ring; Torsten Zuberbier; Karl Wegscheider; Stefan N Willich.Acupuncture in patients with seasonal allergic rhinitis: a randomized trial.Annals of internal medicine:2013;158:225-234.
・Michael D Seidman; Richard K Gurgel; Sandra Y Lin; Seth R Schwartz; Fuad M Baroody; James R Bonner; Douglas E Dawson; Mark S Dykewicz; Jesse M Hackell; Joseph K Han; Stacey L Ishman; Helene J Krouse; Sonya Malekzadeh; James Whit W Mims; Folashade S Omole; William D Reddy; Dana V Wallace; Sandra A Walsh; Barbara E Warren; Meghan N Wilson; Lorraine C Nnacheta.Otolaryngology-Head and Neck Surgery:2015; Vol. 152(1S): S27-S28

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