(公社)生体制御学会第280回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました

平成28年6月5日(日)(公社)生体制御学会第280回定例講習会(愛知県鍼灸生涯研修会)に参加してきました。


(公社)生体制御学会第280回定例講習会
(愛知県鍼灸生涯研修会)

9:45~9:55

第21回愛知県鍼灸生涯研修会開講式と、第20回(平成27年度)愛知県鍼灸生涯研修会における(公財)東洋療法研修試験財団発行の生涯研修終了証書の授与が行われました。

ご挨拶をされる(公社)生体制御学会会長の皆川宗徳先生
 

代表で生涯研修終了証書を授与される狩野義広先生

10:00~10:50 痛みの基礎 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
「陰部神経をターゲットとした鍼治療の効果」         
名古屋医健スポーツ専門学校鍼灸科学科長
(公社)生体制御学会理事
杉本 佳史 先生

今回は、陰部神経をターゲットとした鍼治療の効果と題してお話しをいただきました。
「陰部神経とは仙骨神経叢から起こり、梨状筋と尾骨筋の間を通り、大坐骨孔から骨盤外に出る神経で、下直腸神経、会陰神経、陰茎背神経に分かれます。下直腸神経は、外肛門括約筋の運動と、肛門周囲の皮膚の知覚を司ります。会陰神経は、外肛門括約筋、肛門挙筋などの運動、会陰部、尿道、女性の外尿道口、膣の知覚を司ります。陰茎背神経は、外尿道括約筋の運動を司ります。
陰部神経刺鍼に関連した研究として、北小路らは1989年に解剖学的に陰部神経刺鍼点はどの場所かを研究をして、上後腸骨棘と仙骨結節の間で上方より50~60%の領域であることを報告しています。
その後、井上らは腰部脊柱管狭窄症による間欠跛行に対して陰部神経鍼通電をしたところ、4例全例において歩行距離の延長が確認されたことを報告しています。
また、我々は慢性骨盤痛症候群による会陰部不快感に対して陰部神経鍼通電を用いたところ、会陰部不快感に対して有効な治療法であることを報告しました。慢性骨盤痛症候群とは、前立腺炎の新たな疾患概念として米国国立衛生研究所が提唱したものです。この慢性骨盤痛症候群に陰部神経鍼通電を行うことで不快感、VASの軽減が認められました。
このように研究を行って、裏付けのある鍼灸治療をすることが大切になります。」というお話をいただきました。

11:00~12:00 睡眠の基礎と臨床  
「睡眠の基礎」
独立行政法人国立名古屋医療センター神経内科
岡田  久 先生

今回は睡眠の基礎と臨床について教えていただきました。
「睡眠は体の休息と同時に脳の休息も重要になります。睡眠は眼球が急速に動くレム睡眠と、眼球がほとんど動かないノンレム睡眠に分けることができます。成人の睡眠は1日の約4~3分の1を占め、睡眠中の生体反応を理解することは様々な病気を理解することにつながります。
睡眠研究の歴史として、1926年に脳波の記録をはじめて行いました。1955年にレム睡眠の発見、1976年に睡眠時無呼吸症候群の提唱、1986年にレム睡眠行動異常症の提唱があります。
睡眠段階として、覚醒時の開眼時はβ波、閉眼時はα波になります。ノンレム睡眠は4段階に分かれており、段階1になると、閉眼時のα波は減り、θ波が混入します。段階2では自覚的に眠りに入った状態であり、睡眠紡錘波があらわれます。段階3に入ると徐波睡眠となり、δ波が20%~50%未満、段階4はδ波が50%以上になります。
レム睡眠になると、低振幅脳波と時々の急速眼球運動、抗重力筋の緊張の消失がみられます。
眠るときは平均8分で眠りにつき、正常睡眠に関係する因子は、年齢、性別、個体差、環境があります。よく高齢の方が眠れなくなったと言う方がいますが、年齢を重ねると、夜中の覚醒が多くなり、深い睡眠が少なくなるのが正常で、正常の睡眠なのか、不眠症なのか、他に病気が潜んでいる結果なのかを見極めることが重要になります。
睡眠関連の病気として、不眠症、睡眠呼吸異常症、過眠症、概日リズム異常症、睡眠随伴症、睡眠関連運動異常症などがあるので、問診、各種評価、検査を行って診断、治療を行います。」というお話をいただきました。


 

13:00~13:50  循環器疾患の基礎・臨床、診断と治療
「血管機能検査について」
(公社)生体制御学会副会長
(公社)生体制御学会研究部循環器疾患班班長
服部 輝男 先生
(公社)生体制御学会研究部循環器疾患班副班長 
加納 俊弘 先生

今回は「血管機能の非侵襲的機能検査について」と題して、服部先生に臨床での循環器事故の回避についてや、循環器疾患の発見・予防及び経過観察などの循環器疾患に対する知識の重要性について臨床経験をもとに教えていただきました。
また加納先生から血管の種類とその構造、血圧による血管径の伸展について、また血管内皮細胞とその中心物質である一酸化窒素の働きや、一酸化窒素低下による動脈硬化症の説明をスライドを用いて詳細に教えていただきました。

 

14:00~14:50 婦人科疾患に対する症例報告及び症例検討
明生鍼灸院副院長
(公社)生体制御学会会員  
木津 正義 先生

今回は、明生鍼灸院での鍼治療方法や治療部位、手技や鍼の深度についてと、採卵に向けた治療として陰部神経鍼通電療法の動画も交えて詳細な報告がありました。
また、症例検討として30代後半の3名の不妊症の方が鍼治療により子宮と卵巣の機能が改善し、内2名が妊娠・出産に至った症例についてスライドを用いて報告がありました。

15:10~16:00 鍼灸学校学生向け企画 婦人科疾患の基礎と臨床
「総論 専門性の必要性」
明生鍼灸院副院長
(公社)生体制御学会会員  
木津 正義 先生

今回は専門性の大切さについて教えていただきました。
「私が鍼灸の道を目指したのは母の影響でした。大学卒業後、母が他界し、その時になって親孝行ができなかった後悔がありました。そして、今後はどうしたいのかを深く考えたとき、世の中に恩返しがしたいと思いました。しかし、私には自信と覚悟がありませんでした。明治国際医療大学の矢野忠先生に現在働いている明生鍼灸院を教えていただき、専門性の重要性を知りました。
婦人科疾患という専門性を持つことで次第に自信を持つことができました。また、患者さんへの説明の説得力が出てきて、安心感をもっていただくことで治療効果が高まるように思います。
そして、専門性をもって深く学んだことを学会で発表することが重要です。長年学会発表することで病院の医師とも信頼関係を築くことができ、病院と連携しやすくなります。また、その時に(公社)全日本鍼灸学会の認定鍼灸師であれば、より信頼関係が高まることを実感しています。
すべては患者さんのために、これからも専門性をもって鍼灸治療をしていきたいと思っています。」というお話をいただきました。

このマークのついている先生は東洋医学研究所®グループに所属しています。