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コラム

2017年6月 1日 木曜日

突発性難聴とオージオグラム 平成29年6月1日号 東洋医学研究所® 主任 橋本 高史

はじめに
普段は気にならないと思いますが、聴力は年齢を重ねることによって弱まってくるものであります。 
そして、耳の疾患である耳鳴りや突発性難聴などの罹患者も年々多くなってきています。
今回は、耳の疾患のひとつである突発性難聴と、聴力の検査方法であるオージオグラムについてと、突発性難聴に鍼治療が功を奏した症例をご紹介させて頂きます。

突発性難聴とは
突発性難聴は、健康な聴力の人が原因やきっかけが全く分からないままに、ある日突然片方の耳が聞こえなくなってしまう疾患です。原因は不明といわれていますが、耳の血流の循環障害、外リンパ瘻、聴神経腫瘍、ウイルス、ストレス、疲労等が関与していると考えられています。
主症状は難聴ですが、随伴症状として耳鳴り・耳の閉塞感・めまいが挙げられます。めまいに伴う吐き気や嘔吐を除けば、この3症状以外の症状がないのが特徴であります。
また、突然高度の難聴が発生するため、聞こえなくなった時刻や、その時に何をしていたかを覚えている事も特徴の一つであります。
そして片耳でも、急に聞こえなくなる恐怖は計り知れません。また、突発性難聴は治りにくいケースも多い疾患であります。

オージオグラムとは
突然耳が聞こえなくなった時、まずは耳鼻科での検査に行かれる方が多いと思います。その際の最も基本的な検査がオージオグラムを用いた検査です。
オージオグラムとは、人の聴力を評価する最も基本的なものであり、周波数毎の閾値をグラフ化したものであります。 オージオグラムを見れば、その人の聴こえが正常かどうか、異常ならばその異常の実態を知ることができます 。
オージオグラムは、人が聴くことができる主な周波数の音について、聴くことができる最も弱い音(聴こえの閾値)を探して記録するもので、横軸は検査する音の高さ(周波数) を、縦軸は音の強さを表わしています。正常の値は10~25dB(デシベル)です。

 
    
                  
 
図1 正常な聴力(上)と突発性難聴(下)のオージオグラム
は右耳、×は左耳の状態を表す
 
オージオグラムに記録されるものは7つの周波数の音についての聴こえの閾値で、その閾値が 図の中で上の方にあれば弱い音まで聴こえることを、下に下がれば下がるほど強い音でなければ聴こえないことを示します。
正常な聴力の場合は左右の状態に差はなく弱い音も聞こえており、突発性難聴の場合は右耳の聴力が高度難聴の状態を示しております(図1)。
 
突発性難聴に対する鍼治療の一症例
東洋医学研究所Ⓡに来院されている患者さんで、突発性難聴に罹り、次の日から鍼治療を開始した例をご紹介させて頂きます。
50代の女性です。前月より体が疲れており、ご主人の実家に行った次の朝、右耳が何か覆いかぶさったように感じ、次第に耳鳴りが大きくなり、音が聞き取れないことに気付かれました。その日に耳鼻科を受診、突発性難聴と診断されました。
次の日も右耳が聞こえないため、週2回治療に通っている東洋医学研究所®に相談し鍼治療を開始されました。治療方法は、生体の統合的制御機構の活性化を目的とした生体制御療法と、突発性難聴の改善を目的とした局所療法を行いました。

  
  
図2 突発性難聴患者のオージオグラムの推移

結果です。発症当日のオージオグラムは、右耳は高度難聴状態を示しています(図2左)。この日から毎日鍼治療に通われました。
発症後1週間経過・鍼治療7回目来院時(図2右)には、耳鳴りが残るものの、聞こえは良くなりました。125Hz~1000 Hzまで正常範囲内で聞こえていることが確認でき、回復が早いため、耳鼻科の医師が驚かれたそうです。
発症後21日経過・鍼治療18回目来院時(図2下)には耳鳴りがほとんどなくなり、かなり回復したと感じておられます。聴力検査にて、2000 Hzも正常範囲で聞こえていることが確認できました。
このことは、突発性難聴発症後直ちに鍼治療を開始したことが功を奏したと考えられます。
以上のことから、オージオグラムを指標として、生体の統合的制御機構の活性化を目的とした生体制御療法の鍼治療が突発性難聴に有効であることがわかりました。

おわりに
突発性難聴は発症して時間が経過するほど治りが悪くなる疾患です。急に耳が聞こえなくなった時、『すぐ鍼灸院へ』と考えられる方は少ないと思いますが、東洋医学研究所Ⓡおよび東洋医学研究所Ⓡグループの生体制御療法の鍼治療を毎日受療されると回復が早くなります。もし急に聞こえが悪くなった時、このコラムを思い出して鍼治療を受療していただければ幸いです。

引用参考文献
・立木 孝.よくわかるオージオグラム.金原出版.2003
・立木 孝. EBMからみた突発性難聴の臨床.金原出版.2005

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