糖尿病通信36 ゆっくりと 穏やかに

いよいよ糖尿病通信も最終回が迫ってまいりました。
ここまでの糖尿病通信を振り返りまして、糖尿病と上手に付き合うためのキーワードが「ゆっくりと 穏やかに」に集約されているのに気付きました。
そこで今回は、何を「ゆっくりと 穏やかに」した方がよいのかを見ていきましょう。

○血糖値の上昇をゆっくりと穏やかに
直近の糖尿病通信では持続血糖測定器を用いて、食べるものの違いによって血糖値の上昇具合は違うことを記載してきました。食後の急激な上昇下降は「血糖値スパイク」といわれ、糖尿病に移行しやすいこと、動脈硬化やアルツハイマー病を引き起こし易い事がわかってきています。そのため、食後の血糖値をゆっくりと穏やかに抑えることが大事です。
最近ではベジタブルファーストという言葉も聞こえてくるようになり、野菜から食べることが定着しつつあります。野菜→肉魚→炭水化物(米やパンなど)をゆっくりと食べることが大事です。

〇食後の運動もゆっくりと穏やかに
また、食後の運動も大事です。運動をすると糖を取り込みますので血糖値は下がります。ではどんな運動が良いのでしょうか?筋トレは筋肉量が増すので糖の取り込む量が多くなりますが、食後には無理にする必要はありません。散歩などの穏やかな運動で十分です。以前、食後30分後に20分間、普通の速さで歩くときと牛歩並みの速さで歩くときを75g糖負荷試験を用いて血糖値の下降具合を調べたところ、あまり差はなく血糖値は下降していました。食後の会議では立ってちょこちょこと足を動かしながらでも効果はあるということですので、食後の運動もゆっくりと穏やかに、で十分効果があります。
  
○穏やかに生きたい
過度なストレスも血糖値を上昇させます。ストレスが溜まると睡眠に影響を与えます。睡眠不足が続くと血糖値スパイクを引き起こし、血糖コントロールが乱れることがわかっています。睡眠を司る脳からメラトニンというホルモンが分泌されていますが、インスリン分泌にも関わっています。睡眠不足になるとメラトニン分泌量が減り、インスリン分泌も減るため、血糖値が上がりやすくなります。ぐっすりと寝て、ゆっくりとご飯を食べ、散歩などの運動をし、ストレスを溜めずに穏やかに生きる。現代社会では難しいかもしれませんが、心がけることはできます。
是非、心に留めて健康で穏やかに生きたいものです。           


(文責 山田篤)