女性の美と健康に関わる女性ホルモン 東洋医学研究所®グループ  たかやま鍼灸院 院長 高山 加奈子 平成31年4月1日号

40代以降の女性が感じる心身の変化には、女性ホルモンが大きく関係しています。女性の健康に大きく関わる重要なホルモンですが、実はよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、今回は女性ホルモンの役割について確認したいと思います。

女性のリズムに関係する女性ホルモン
ホルモンは体内で分泌される物質で様々な器官や組織をコントロールしています。その中で、女性特有の体つきや体のリズムに大きな影響を与えるのが女性ホルモンです。女性ホルモンは脳の中心部にある脳下垂体の命令で分泌されています。命令を受けた卵巣が女性ホルモンを作り、分泌します。分泌されたホルモンは血管から血液に入り、全身を巡り、からだを調整します。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。

女性らしさに関わるエストロゲン(卵胞ホルモン) 
妊娠に不可欠な卵胞を受精卵へと成長させるために必要なホルモンです。また、骨の密度を保つ作用や、血管を強くして動脈硬化を防ぐ役割があります。その他に、血圧やコレステロールをコントロールする作用もあります。女性の健康はエストロゲンによって守られていると言えます。また、エストロゲンは女性特有の丸みを帯びた体をつくり、肌や髪の潤いを守ってくれます。女性らしさを引き出すホルモンなのです。

妊娠をつかさどるプロゲステロン(黄体ホルモン)
プロゲステロンは受精卵の着床のために子宮内膜を整えたり、基礎体温を上昇させたりする働きがあり、妊娠を維持するために働きます。体内に水分を保つ作用があるため、体がむくんだりします。腰痛や腹痛、イライラなど、生理前に体に変化が現れるのは、プロゲステロンの影響だと言われています。
※2つの女性ホルモンは、月経と連動し、約28日の周期でそれぞれの分泌量のバランスを変化させます。女性の体と心の変化は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量バランスが変化したときに現れます。

年齢と共に減少する女性ホルモン
女性が一生のうちに分泌する女性ホルモンの量は、なんとティースプーン1杯ほどです。
このわずかな量によって、女性の美と健康は保たれているのです。
しかし、女性ホルモンは年齢と共に減少していきます。女性ホルモンの分泌量のピークは20代後半から30代前半。30代後半になるとその分泌量は徐々に低下を始めます。閉経前後の45~55歳には激減していきます。50代後半になると、卵巣はわずかな女性ホルモンしか分泌しません。卵巣の働きが止まったら、女性ホルモンは分泌されないのです。(図1)

図1

女性ホルモンが分泌される目的は、妊娠して胎児を体内で育てるためですから、年齢とともに減ってくるのは仕方のないことです。しかし、女性ホルモンのサポートを受けられなくなった時に自分の体に何が起きてくるのかということについて考え、対処していくことが必要です。これから先の健康についても考えてみましょう。 

卵巣を元気にしよう!
卵巣が元気に長く働いてくれれば、その間は女性ホルモンは分泌されます。腰痛や冷え性がある人は血液の循環が滞り、卵巣の働きが弱くなっている可能性があります。卵巣に十分な栄養が行き届くように血液の巡りをよくすることを始めましょう。
・バランスの良い食事をしましょう:血液は毎日の食事からつくられます。食事を見直して質の良い血液を作りましょう。
・体を積極的に動かしましょう:血液の循環がよくなり、卵巣をはじめ内臓や、筋肉に酸素や栄養を十分に届けることができます。無理なく続けて、体を動かすことを習慣化しましょう。
・鍼をすることで血液循環がよくなります:自律神経を介して卵巣血流の改善が認められることが分かっています。
定期的に生体制御療法(東洋医学研究所®HP参照)の鍼治療をして、血流改善をすることで、体調を整えていくことをおすすめします。

参考引用文献
・新野博子:女性ホルモンの増やし方.株式会社宝島社.2012
・武谷雄二:エストロゲンと女性のヘルスケア.メジカルビュー社.2015
・中村一徳:ninニン~妊活情報サイト~ http://www.nin.club/