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コラム

2019年9月 1日 日曜日

女性に多い骨粗鬆症を何とかしたい 東洋医学研究所®グループ  福田鍼灸院 院長 福田 裕康 令和元年9月1日号

はじめに
骨粗鬆症の患者数は推計1280万人に及び、高齢化の進行により更なる増加が見込まれています。
骨粗鬆症の怖さは、圧迫骨折を起こしやすくなるところにあります。圧迫骨折とは、骨がもろくなってしまったことが原因で背骨が押しつぶされるように変形してしまう骨折のことです。さらに怖いことに、骨折したまま放置しておくと、数週間から数カ月かけて徐々に押しつぶされた背骨が脊髄を圧迫して、麻痺症状が出ることがあります。たとえば足が動かなかったり、また、お腹が圧迫されて逆流性食道炎や心肺機能の低下などにつながることや、関係がないと思われるかもしれませんが、トイレがちかくなったり、逆に排尿の感覚がなくなることがあります。重症化すると寝たきりの原因にもなり、認知障害への第一歩を踏み出してしまうこともあります。
それでは、この骨粗鬆症はなぜ女性に多いのか、探ってみましょう。

なぜ女性に骨粗鬆症は多いのか?
患者における女性の比率は男性の3倍以上であります。骨粗鬆症の発症リスクは成長期に獲得できる骨量(骨密度)ピーク値に依存しますが、その値は女性は男性よりも低いことが知られています。骨量ピーク値が男性の方が高いのは、骨自体の性差に加えて、男性は女性に比べて体格がいいので骨格筋量および運動量に依存した骨循環の活性化が高く、結果として骨代謝が促進されているからです。
年齢を重ねるとともに男女に共通する骨量減少があります。これだけであれば男性も女性と同様に骨粗鬆症を発症するはずです。しかし、女性では閉経後の女性ホルモン低下により骨の新陳代謝バランスが崩れ、骨量の減少が加速すると考えられているため、より多くの骨粗鬆症が発症します(図1)。
骨粗鬆症の原因は骨形成と骨吸収の不均衡にありますが、骨代謝維持のためには、他の臓器・組織と同様に代謝需要に見合う血流の維持が不可欠です。女性ホルモンは血管を広げる作用や抗動脈硬化作用をもっているので、閉経後の骨粗鬆症を悪化させる原因として骨循環障害の存在が示唆されます。他にも、性差以外の危険因子である加齢、メタボリック症候群、生活習慣病が血管機能障害を伴うことから、骨粗鬆症は全身の血のめぐりが悪いことの一面として現れている可能性が大きいことが考えられます。

動物実験からわかった骨の血流
骨密度を増やすには運動がいいことはわかっています。では、運動をさせると骨の血流はどうなるでしょう。骨密度を増やす方法として推奨されるレジスタンストレーニングを足に10週間施したモルモットにおいては、足を曲げる力が増え筋肉が疲労しにくくなったことに伴って骨の一番外側にある血管が広がりやすくなり、多くの血流を送ることができました。これは、運動による骨血流増加を示唆しており骨代謝が促進される可能性を示しました。この骨膜動脈は骨の外側の血流であるため、特に成長期の骨形成や骨修復において重要な役割をしていると考えられます。
一方、骨代謝を促進して骨密度を維持する上では、骨の深いところまで入っていく栄養血管といわれる血管が重要な役割を担っています。そこで、骨膜血管と栄養血管が縮まる力を比較検討したところ、栄養血管では、普通の血管ではない特別な伝達物質であるセロトニンが関与している可能性がでてきました。少し話が飛びますが、セロトニンが関与する病気としてうつ病があり、これが女性の方の罹患率が多いことや、治療薬であるセロトニンを阻害する薬は女性の方が効きやすいという報告があります。
これらのことを考えると、まだ推測の域ではありますが、女性の骨粗鬆症には骨に送られてきている栄養血管の血流が大事であり、まだ解明されていない男性とは違った制御が存在する可能性があります。 

おわりに
鍼治療は血流を良くすることは良く知られています。また、骨粗鬆症をもちながらも骨折もなく健康を保てる患者さんもたくさんおられます。骨の血管動態の解明と東洋医学研究所®に積み上げられた研究業績から、高齢化に伴う鍼治療の有効性がはっきりとしてくると思います。今後に期待してください。

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