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コラム

2021年2月 1日 月曜日

睡眠の質はノンレム睡眠がカギ 東洋医学研究所®グループ  二葉鍼灸療院 院長 皆川 宗德 令和3年2月1日号

はじめに
日本人の睡眠時間は、2018年OECD(経済協力開発機構)の調査によると7時間22分で世界ワースト1の短さでした(図1)。24時間社会を背景に近年さらに睡眠時間が短くなり、6時間未満の睡眠時間の日本人が全人口の4割を占めると報告されています。2019年の調査結果では日本人の睡眠時間の平均が6時間27分と、世界で一番悪いと言われた時と比べて、さらに55分短いことがわかりました(図2)。今の日本は「睡眠負債」の蓄積に留まらず、さらに破綻に向かっている傾向にあります。

 
図2.日本の平均睡眠時間の推移(2018年~2019年)
睡眠は単なる休息や眠気の解放ではなく、自律神経やホルモンバランスの調整、記憶の定着や免疫機能の増強、脳の老廃物の除去等の重要な役割をはたすことが明らかになっています。適切な睡眠をとらないと、肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病をはじめ、精神疾患、感染症やがん、認知症の発症リスクも高まります。
今一度、睡眠の重要性について考えてみたいと思います。

ノンレム睡眠とレム睡眠
人の睡眠サイクルは、脳が休んでいるノンレム睡眠と、脳が覚醒して記憶を整理するレム睡眠で構成されています。深い眠りと言われる「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」のサイクルを一晩で4〜5回繰り返しています(図3)。この中で、最も深く眠っているのが1周期目の「ノンレム睡眠」。この最初の90分を「黄金の90分」と呼び、最初の深い眠りで脳下垂体から「成長ホルモン」が分泌されます。成長ホルモンは骨格形成を促し、身長を伸ばしたり、疲労の回復やホルモンバランスの調整を行ったりするホルモンです。深い睡眠をとり、成長ホルモンの分泌が適切に行われることで、人は寝ている間に脳や身体の疲労回復や、あらゆる細胞の修復がされ、免疫機能の向上などの効果があります。しっかり成長ホルモンの分泌が行われれば、子供は育ち、大人は衰えにくい身体を維持できるというわけです。

図3.ヒトの睡眠サイクル
 
睡眠の質を高めるには、睡眠の最初の90分で、身体が熟睡モードになる「ノンレム睡眠」をしっかりとることが、睡眠全体の質を向上させるためには重要です。また、ノンレム睡眠時には、副交感神経が優位になっており、副交感神経の働きを高めることで、正しい睡眠周期を実践でき質の良い睡眠を得る事ができると考えられます。

睡眠に対する鍼治療の検討―鍼治療は副交感神経を優位にする―
鍼治療により睡眠の改善効果があることは臨床鍼灸の現場でよく経験されています。
東洋医学研究所®所長黒野保三先生と名古屋市立大学大学院医学研究科教授の早野順一郎先生との共同研究により、睡眠に対する鍼治療の基礎・臨床研究を行い、
・鍼刺激(筋膜上圧刺激)は、副交感神経活動を亢進する。
・鍼治療は睡眠障害とそれに伴う不定愁訴を改善する。
・鍼治療は、自覚的な睡眠の質を向上させる。
・鍼治療は、睡眠中の副交感神経活動を亢進する。
という研究結果を国内外に報告してまいりました(表1)。
鍼治療が、睡眠の質を高めていることは、自律神経の副交感神経機能を亢進しているという研究結果からも明らかであります。
2020年、早野順一郎先生は、心拍変動の変化から、睡眠中の特にノンレム睡眠を高精度、且つ高い信頼性で検出する手段を開発されました。
鍼治療は、睡眠中の副交感神経活動を亢進することは明らかになっていますが、睡眠中の「ノンレム睡眠」「レム睡眠」に対して、どのような影響を及ぼしているのかは明らかになっていません。早野順一郎先生が開発された新しい睡眠指標により、特に最初の深い眠り「ノンレム睡眠」への効果が明らかとなれば大発見になります。
今後の睡眠に対する鍼治療の基礎研究の進展が楽しみでなりません。この研究結果が、皆様に還元される日を祈るばかりです。

おわりに
睡眠障害でお悩みの方は、是非、東洋医学研究所Ⓡ黒野保三所長の長年の研究によって裏付けられている生体の統合的制御機構の活性化を目的とした生体制御療法の鍼治療(鍼と超音波の併用治療)を受療されることをお勧めいたします。

引用・参考文献
・ソサンスタイルHP:https://sosan-style.jp/20200628-2/
・SleepediA HP:https://sleepedia.jp/rem-nonrem/
・BRAIN SLEEP HP:https://brain-sleep.com/sleep-deviation/research2/
・櫻井 武:睡眠の科学 : なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか 改訂新版. 講談社, 2017.
・石神龍代,皆川宗徳,福田裕康,井島晴彦,近藤利夫,黒野保三. 睡眠障害に伴う不定愁訴に対する鍼治療の検討. 全日鍼灸会誌. 2006: 56(5); 793-801.
・Kurono Y, Minagawa M, Ishigami T, Yamada A, Kakamu T, Hayano J.Acupuncture to Danzhong but not to Zhongting increases the cardiac vagal component of heart rate variability. AutonNeurosci. 2011; 161. 116-20.
・黒野保三、各務壽紀、皆川宗徳、石神龍代、山田 篤、早野順一郎:心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激に対する自律神経反応の評価―.自律神経. 2012; 49: 251-6.
・Minagawa M, Kurono Y,Ishigami T,Yamada A,Kakamu T, Hayano J.Site-specific organ-selective effect of epifacial acupuncture on cardiac and gastric autonomic function.AutonNeurosci.179(1-2).151-154:2013
・皆川宗徳、黒野保三、石神龍代、山田 篤、各務壽紀、早野順一郎:心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激の経穴特異性の検討―.自律神経. 2015; 52(2): 145-6151
・石神龍代, 黒野保三,皆川宗德,山田 篤,各務壽紀,早野順一郎. 黒野式全身調整基本穴への鍼治療(筋膜上圧刺激)による睡眠の質の改善効果 ―OSA睡眠調査票MA版を用いた自覚的な睡眠の質の評価―.全日本鍼灸学会誌.2016:66(1);24‐32
・黒野保三.長生き健康「鍼」.現代書林.2008:94-6

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