• 膨大な臨床鍼灸の研究実績
  • 91.9%の効果を実証
  • 早い・短い痛くない治療

コラム

2019年9月 1日 日曜日

女性に多い骨粗鬆症を何とかしたい 東洋医学研究所®グループ  福田鍼灸院 院長 福田 裕康 令和元年9月1日号

はじめに
骨粗鬆症の患者数は推計1280万人に及び、高齢化の進行により更なる増加が見込まれています。
骨粗鬆症の怖さは、圧迫骨折を起こしやすくなるところにあります。圧迫骨折とは、骨がもろくなってしまったことが原因で背骨が押しつぶされるように変形してしまう骨折のことです。さらに怖いことに、骨折したまま放置しておくと、数週間から数カ月かけて徐々に押しつぶされた背骨が脊髄を圧迫して、麻痺症状が出ることがあります。たとえば足が動かなかったり、また、お腹が圧迫されて逆流性食道炎や心肺機能の低下などにつながることや、関係がないと思われるかもしれませんが、トイレがちかくなったり、逆に排尿の感覚がなくなることがあります。重症化すると寝たきりの原因にもなり、認知障害への第一歩を踏み出してしまうこともあります。
それでは、この骨粗鬆症はなぜ女性に多いのか、探ってみましょう。

なぜ女性に骨粗鬆症は多いのか?
患者における女性の比率は男性の3倍以上であります。骨粗鬆症の発症リスクは成長期に獲得できる骨量(骨密度)ピーク値に依存しますが、その値は女性は男性よりも低いことが知られています。骨量ピーク値が男性の方が高いのは、骨自体の性差に加えて、男性は女性に比べて体格がいいので骨格筋量および運動量に依存した骨循環の活性化が高く、結果として骨代謝が促進されているからです。
年齢を重ねるとともに男女に共通する骨量減少があります。これだけであれば男性も女性と同様に骨粗鬆症を発症するはずです。しかし、女性では閉経後の女性ホルモン低下により骨の新陳代謝バランスが崩れ、骨量の減少が加速すると考えられているため、より多くの骨粗鬆症が発症します(図1)。
骨粗鬆症の原因は骨形成と骨吸収の不均衡にありますが、骨代謝維持のためには、他の臓器・組織と同様に代謝需要に見合う血流の維持が不可欠です。女性ホルモンは血管を広げる作用や抗動脈硬化作用をもっているので、閉経後の骨粗鬆症を悪化させる原因として骨循環障害の存在が示唆されます。他にも、性差以外の危険因子である加齢、メタボリック症候群、生活習慣病が血管機能障害を伴うことから、骨粗鬆症は全身の血のめぐりが悪いことの一面として現れている可能性が大きいことが考えられます。

動物実験からわかった骨の血流
骨密度を増やすには運動がいいことはわかっています。では、運動をさせると骨の血流はどうなるでしょう。骨密度を増やす方法として推奨されるレジスタンストレーニングを足に10週間施したモルモットにおいては、足を曲げる力が増え筋肉が疲労しにくくなったことに伴って骨の一番外側にある血管が広がりやすくなり、多くの血流を送ることができました。これは、運動による骨血流増加を示唆しており骨代謝が促進される可能性を示しました。この骨膜動脈は骨の外側の血流であるため、特に成長期の骨形成や骨修復において重要な役割をしていると考えられます。
一方、骨代謝を促進して骨密度を維持する上では、骨の深いところまで入っていく栄養血管といわれる血管が重要な役割を担っています。そこで、骨膜血管と栄養血管が縮まる力を比較検討したところ、栄養血管では、普通の血管ではない特別な伝達物質であるセロトニンが関与している可能性がでてきました。少し話が飛びますが、セロトニンが関与する病気としてうつ病があり、これが女性の方の罹患率が多いことや、治療薬であるセロトニンを阻害する薬は女性の方が効きやすいという報告があります。
これらのことを考えると、まだ推測の域ではありますが、女性の骨粗鬆症には骨に送られてきている栄養血管の血流が大事であり、まだ解明されていない男性とは違った制御が存在する可能性があります。 

おわりに
鍼治療は血流を良くすることは良く知られています。また、骨粗鬆症をもちながらも骨折もなく健康を保てる患者さんもたくさんおられます。骨の血管動態の解明と東洋医学研究所®に積み上げられた研究業績から、高齢化に伴う鍼治療の有効性がはっきりとしてくると思います。今後に期待してください。
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

2019年8月 1日 木曜日

睡眠教育のスペシャリスト 「睡眠育成士」誕生 東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院 院長 皆川 宗徳 令和元年8月1日号

〇睡眠育成士について
平成30年3月に、名古屋市立大学睡眠医療センター長の中山明峰先生は「現在、子供に限らず、全国民の睡眠動態が悪化しており、睡眠障害は社会的に大きな損失となっている現状を鑑み、これからは、睡眠教育の普及が非常に重要であり、小中学校、企業などで、睡眠教育を実践するためには、睡眠育成士の養成が急務である。」と睡眠教育の重要性を訴えられました。
公益社団法人 生体制御学会は従来の研究活動の中で生体制御学会不定愁訴班が行ってきた睡眠研究において、鍼治療が有効であったことをふまえて、睡眠教育の重要性を広く一般市民の方々にも普及できるのではないかと考え、平成30年6月から生体制御学会定例講習会において、名古屋市立大学睡眠医療センター認定睡眠育成士認定講座を開講しました。
この睡眠育成士認定講座は年間で5回実施され、全4単位を取得し、最後に認定試験を受け合格した54名に、令和元年6月2日、名古屋市立大学睡眠医療センターより第一回の睡眠育成士認定証書が授与されました。
睡眠育成士は、睡眠衛生について学んだことを非営利的に情報を拡げることを目的としており、本講座で認定された睡眠育成士は、学校などの教育施設より睡眠教育の要請があった際には積極的に応じていき、学校などで睡眠の大切さを伝え、児童生徒の生活習慣を改善させる活動をしていきます。


〇発達期の子どもの睡眠の現状と問題点
文部科学省では、2014年に「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査」として、全国的な実態を把握することと、生活習慣と小中高生の心身の状態との関連を明らかにすることを目的として2万人規模による全国的な調査を実施しました。
まず、調査は全国の小学5年生から高校3年生までの(学年ごと100校)計800校を対象に行われました。有効回答数は2万3139名でした。「次の日学校がある日」の就床時刻を見ると、小学生でも午後11時以降が15%近くいることがわかりました。また学年が上がるごとに夜更かしは増え、高校生では50%弱が夜12時以降に寝ています。
調査結果から、就寝時刻・起床時刻・さらに朝食欠食が「午前中調子が悪い」と関連していることがわかりました。また朝食を食べない小学生ほど「なんでもないのにイライラする」と答え、就寝時刻が早い子ども、朝食時、家の人と会話している小学生は「自分のことが好き」と答えています。体は気持ちを代弁し、気持ちは体が発する本音のメッセージでもあります。十分な睡眠がとれて、朝、機嫌よく家族と朝食をとる子どもは、登校時、元気で前向きな気持ちでいるに違いありません。 学びに向かう姿勢は、実は子どもの生活習慣が支えているといえます。

もうひとつ、今回の調査でも重要性が確認されたことがあります。それは生活リズムの問題であります。「次の日に学校がある日とない日」とで起床・就床時刻が2時間以上ずれることを尋ねると、「よくある」「ときどきある」をあわせ、3〜4割いることがわかりました。ずれることが多い子どもは「午前中、授業中にもかかわらず眠くてしかたがない」が多く、平日と休日のズレが2時間以上ある子どもたちは、午前中の眠気 やイライラなどを強く感じていました。規則正しい生活の継続が必要であります。
今後、良好な睡眠を確保するためにも、子どもたちへの正しい睡眠教育が益々重要になってきます。睡眠育成士の今後の活動が期待されます。
引き続き(公社)生体制御学会では、2019年度も睡眠育成士認定講座を開講しています。

文献
1) 文部科学省:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査結果:http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1357460.htm
2)Kurono Y, Minagawa M, Ishigami T, Yamada A, Kakamu T, Hayano J.Acupuncture to Danzhong but not to Zhongting increases the cardiac vagal component of heart rate variability. AutonNeurosci.161. 116-120:2011
3)黒野保三、各務壽紀、皆川宗徳、石神龍代、山田 篤、早野順一郎:心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激に対する自律神経反応の評価―.自律神経,49(1):251-256.2012
4)Minagawa M, Kurono Y, Ishigami T, Yamada A, Kakamu T, Akai R, Hayano J.Site-specific organ-selective effect of epifascial acupuncture on cardiac and gastric autonomic functions.AutonNeurosci.179(1-2).151-154:2013
5) 皆川宗徳、黒野保三、石神龍代、山田 篤、各務壽紀、早野順一郎:心拍変動解析による鍼刺激に対する自律神経反応の評価―腹部鍼刺激の経穴特異性の検討―.自律神経,52(2):145-151.2015.
6) 石神龍代、黒野保三、皆川宗徳、山田 篤、各務壽紀、早野順一郎:黒野式全身調整基本穴への鍼治療(筋膜上圧刺激)による睡眠の質の改善効果―OSA睡眠調査票MA版を用いた自覚的な睡眠の質の評価―.全日本鍼灸雑誌.66(1):24-32.2016
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

2019年7月 1日 月曜日

認知症を予防しましょう 東洋医学研究所®副院長 石神 龍代 令和元年7月1日号

はじめに
急速な超高齢化に直面している日本において、認知症(一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態を指すもの)の患者数は、団塊世代全員が75歳以上となる2025年には約700万人(高齢者の約20%、5人に1人)に上ると予測されています。
そこで、認知症の危険因子と防御因子についての研究内容を紹介させていただき、認知症発症予防にお役立ていただきたいと思います。

1.認知症予防に関する記事
5月17日の中日新聞で「認知症予防重視 認知症対策を強化するため、政府は16日の有識者会議で『予防』を重要な柱とした2025年までの新たな大綱の素案を示した。政府は6月の関係閣僚会議で大綱を決定する。『予防』は政府の従来方針である認知症の人が暮らしやすい社会を目指す『共生』とともに2本の柱に据える。素案には認知症の人数を抑制する初の数値目標を導入し、数値目標として『70代の発症を10年間で1歳遅らせる』認知症の人の割合について6年間で6%低下させることを目指す。10年間では約1割減少することになる。」と報じられました。
これは認知症患者増加による社会負担の増大、介護保険をはじめとする医療福祉財源に対する圧迫を緩和し、高齢者が健やかに長寿を享受できる豊かな長寿社会の実現を目指すためのものと思われます。

2.認知症の危険因子と防御因子
認知症の原因は様々でありますが、その成因がいまだ十分に解明されておらず、根本的な治療法も確立されていないのが実情のなかで、疫学研究によって認知症の危険因子、防御因子を明らかにする研究が行われています。
福岡県糟屋郡久山町における久山町研究は、1961年より50年以上にわたり継続中の生活習慣病の疫学調査であり、65歳以上の高齢住民を対象として、1985年、1992年、1998年、2005年、2012年に認知症の有病率調査が実施されました(受診率90%以上)。さらに、これらの有病率調査を受診した人を全員追跡し(追跡率99%以上)、認知症例は頭部CT/MRIおよび剖検(剖検率75%)によって脳を形態学的に調べてその病型診断を行っています。
この久山町研究の成績を中心に、日本の地域高齢住民における認知症の危険因子と防御因子が検討されています。
♢高血圧
高血圧は日本人が最も罹患しやすい生活習慣病であります。そこで、久山町の高齢住民の追跡調査において、中年期および老年期の高血圧の認知症発症に及ぼす影響が検討された結果、老年期のみならず、中年期の高血圧も老年期における血管性認知症発症の危険因子であることがわかり、中年期からの厳格な高血圧管理が将来の血管性認知症発症の予防にきわめて重要であると考えられます。
♢糖尿病
1988年の久山町検診で75g経口糖負荷試験を受けた65歳以上の住人1017人を15年間追跡した成績を用いて、糖代謝異常の認知症発症に及ぼす影響が検討された結果、正常耐糖能群と比べて糖尿病群ではアルツハイマー型認知症の発症リスクは2.1倍と有意に高く、血管性認知症の発症リスクも1.8倍と高い傾向が示されました。
さらに、糖尿病者、なかでも糖負荷後(食後)2時間血糖値の高値者において、認知症の発症リスクが直線的に上昇していました。
糖尿病は脳動脈硬化の進展、さらにはインスリン代謝障害など、さまざまな機序を介して脳の老化を促進させると考えられていますので、認知症を予防するうえで、糖代謝異常・糖尿病の予防と、その早期診断と適切な管理が重要であると言えます。
♢喫煙
久山町研究の成績を用いて、中年期から老年期の喫煙習慣が認知症発症に及ぼす影響を検討したところ、生涯にわたり、非喫煙であった群に対し、中年期から老年期までの持続喫煙者は、血管性認知症およびアルツハイマー型認知症の発症リスクがそれぞれ2.8倍、2.0倍有意に上昇していました。しかし、禁煙をした群では、認知症の発症リスクは低下傾向が認められ、認知症発症のリスクを下げるうえで、禁煙は有効であると考えられます。
♢運動
海外の多くの疫学研究において定期的な運動習慣が認知症の有意な防御因子であることが報告されていますが、久山町研究においても、運動習慣を有する群では、運動習慣を有しない群に比べ、血管性認知症およびアルツハイマー型認知症の発症リスクを38~45%有意に低下させることが示されています。
運動が脳に及ぼす効果は、脳血管疾患のリスクや炎症の抑制、脳の成長因子の増加に伴う脳構造の強化や損失の減少、アミロイド蓄積の減少、電気生理学的特性の強化や遺伝子転写の変化などが想定されています。
従来実施されてきた有酸素運動や筋力トレーニングのみでは、軽度認知障害高齢者の記憶等の認知機能を効果的に向上させることは困難でしたが、これらに、さらに記憶課題や計算課題をしながらの運動を組み合わせる、国立長寿医療研究センターが開発したコグニサイズ〈英語のcognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせた造語〉を加えて運動介入を行うことによって、全般的認知機能の保持効果や記憶の向上が確認されています。
♢食事性因子と栄養学的要因
久山町研究において、食事パターンと認知症発症の関係について検討された結果、大豆・大豆製品、野菜、藻類、牛乳・乳製品、果実、芋、魚、卵の摂取量が多く、米、酒の摂取が少ないという食事パターンを有する人は、有しない人に比べ、認知症発症リスクが有意に低下していました。
栄養学的な観点から、単一の食品ではなく、さまざまな食材を用いた栄養バランスの良い食事が、栄養摂取を介して脳の機能維持に貢献し、認知症発症予防に効果的であることが示唆されています。
♢社会参加や社会的交流の少なさと認知症発症リスク
社会的孤立は、孤独死や詐欺被害などの社会的問題に加えて、生活の質の低下、うつ、栄養状態の不良、要介護状態、認知症、死亡などのリスク増加など高齢者の健康状態に多面的に影響することが知られています。
社会参加や社会的交流と認知症発症リスクについて検討した報告によると、社会参加の少なさは1.4倍、社会的交流の少なさと社会的孤立は1.6倍認知症発症リスクを高めています。
まさに「きょういく(今日行くところがある)」「きょうよう(今日用事がある)」の大切さを示唆しています。

おわりに
久山町研究における成績により、加齢に基づく認知症発症リスクは生活習慣病の予防や生活習慣の是正によって軽減できることが示唆されました。
認知症の発症を予防するためには高齢期のみならず、生涯を通じた予防(健康)への取り組みが大切であることを痛感いたします。そのための基本となる心身の健全を保つために、東洋医学研究所®黒野保三所長の長年の研究でその効果が実証されている、個々人のもつ生命力を調整する生体制御療法の鍼治療を定期的に受療されることをお勧めいたします。


参考・引用文献
1)二宮利治、認知症危険因子と防御因子:認知症トータルケア、日本医師会雑誌 第147巻・特別号(2)、2018. 280―282
2)島田裕之、運動と認知症予防:認知症トータルケア、日本医師会雑誌 第147巻・特別号(2)、2018.288―290
3)水上勝義、社会参加、生涯教育と認知症予防:認知症トータルケア、日本医師会雑誌 第147巻・特別号(2)、2018.293―294
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

2019年6月 1日 土曜日

正しい靴を選ぼう 東洋医学研究所®グループ  にしだ鍼灸院 院長 西田 修 令和元年6月1日号 

はじめに
人の足の形は大きく3つのタイプに分かれており、それぞれの足に合った靴を選択することが重要です。デザインなどで靴を選ぶ方もいらっしゃいますが、足に合わない靴を履いていると、足に痛みを生じることがあります。
そこで、今回は正しい靴の選び方をお話します。

足の型は3つある
自分の足がどのような形をしているかを考えたことはありますか?実は、足の形は人それぞれ違います。足型は、エジプト型、ギリシャ型、スクウェア型の3つに分けられます。日本人は約8割がエジプト型、約2割弱がギリシャ型、残りがスクウェア型です。
エジプト型は、親指が一番長く、小指の方にいくにつれて徐々に短くなっていきます。ギリシャ型は、人差し指が一番長いことが特徴です。イメージとしては、ヒール靴のような足の形です。スクウェア型は、5本の指の長さがほぼ同じになっているタイプです。まずは、自分の足がこの3つのタイプの中のどれに当てはまるかを知ることがポイントです。

靴の構造と役割を知る
靴は唯一地面と足部をつなぐ、いわば体の一部分です。靴の構造を理解することは重要です。
靴はアッパーと底で構成されます。アッパーとは、足部の上側を覆う部分です。外部からの衝撃や天候(雨や雪暑さなど)から足を守ります。アッパーがあることで、足部はしっかりと固定し安定します。底は、靴の底の部分であり、足部の土台となります。地面からの衝撃を吸収し、石や危険物(釘やガラスなど)から足部を守ります。靴は細かく名称がついており、多くのパーツが組み合わさってできています。

足型にあった靴の選び方
靴を選ぶときは、それぞれの足型に合わせた靴型を選びます。エジプト型は親指部分が長く広いオブリークトゥ(つま先が斜になっている靴)との相性が良いです。ギリシャ型は人差し指が最も長いため、ラウンドトゥ(つま先が丸くなっている形の靴)との相性が良いです。スクウェア型は長い指がなく曲線を描いているため、スクエアートゥ(つま先が鈍角にカットされた形の靴)との相性が良いでしょう。
例えば、エジプト型でラウンドトゥを履いたらどうでしょうか。ラウンドトゥは靴の真ん中が長く作られているのに対し、エジプト型は親指が最も長いです。このまま履くと、親指が内側へ締め付けられてしまうことがわかります。この状態は外反母趾の一因となります。

夕方に靴を買いましょう
皆さんは靴を買う時間帯を意識したことはありますか。実は靴を購入するにも、ゴールデンタイムがあります。それは夕方です。なぜ夕方に購入するのが良いのか、それはむくみと関係しています。
足がむくんでない状態で買うと、足がむくんだときにパンパンにきつくなってしまうからです。靴がきつい状態では、指が圧迫を受け、外反母趾など足指のトラブルへとつながります。
靴を選ぶときは、かかとの部分をしっかりと合わせます。靴の先には「捨て寸」という部分があるため、つま先と靴先の間に指が1本分ぐらい入る余裕をもたせましょう。つま先が靴の中で当たっていないかを確認しましょう。
靴のサイズは、足の縦の長さである足長(足のかかとから、もっとも長い足指の先端までの長さ)で選ばれやすいですが、横幅である足幅(足の親指と小指の付け根にある骨の出っ張り)も重要です。同じ足の長さであっても、足幅が広いこともあれば、狭いこともあります。靴のサイズをみるときは、足長と足幅をみることがポイントです。
この他にも甲の部分がきつくないか(靴紐がある靴を選ぶ)、かかとの部分が柔らかすぎずフィットしているかなどを確認します。
またもう1つ、つま先の部分がしっかりと動き、指の関節である中足趾節関節(足の指の付け根の関節)と靴の曲がる部分があっているかどうかも確認します。歩行時につま先で地面を蹴るとき、中足趾節関節と靴の曲がる部分が合っていないと、うまく地面を蹴ることができません。この部分もしっかりと確認し、足にフィットした靴を選びましょう。

おわりに
今回、正しい靴の選び方についてお話しをさせて頂きました。足は体で唯一地面と接している部分です。家で例えるなら土台と同じです。土台がしっかりしていないと、いくら建物が良くても不安定になります。無理して合わない靴を履いてしまうと、体にさまざまな影響を与えます。
また、鍼治療も健康管理には欠かせないものです。鍼治療は、血行を良くする効果があります。鍼治療を受けられた方の中には鍼治療中から身体がポカポカとし、むくみがすっきりとすることを感じられる方がおられます。
ぜひこの機会に、自分の足に目を向けてみてはいかがでしょうか。正しい靴を履くことと、定期的に生体制御療法(東洋医学研究所®HP参照)の鍼治療をして、体調を整えていくことをおすすめします。

引用文献
・桜井亮輔:図解入門よくわかる足部・足関節の動きとしくみ 2018.10 秀和システム
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

2019年5月 1日 水曜日

認知症の基礎知識 東洋医学研究所®グループ  ことぶき鍼灸院 院長 秋田 壽紀 令和元年5月1日号

はじめに
超高齢社会となっている現在の日本ですが、総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、1985年に10%、2005年に20%を超え、2018年には28.1%となりました。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれています。
このように急速な超高齢化に直面している日本において、認知症患者の人数も増加しており、2012年には462万人でしたが、2025年には700万人を超えると予測されています。
治療院で、高齢の患者様と接する機会が良くありますが、自分が認知症になるのではないか、最近物忘れをするようになったから認知症になっているのではないかという心配の声をよく聞きます。加齢による物忘れと認知症による初期の記憶障害は区別が難しいので、心配になってしまうのは仕方がないでしょう。しかし、認知症に対する知識を身につけることである程度、区別することができ、認知症の早期発見にもつながります。また、早めに対処することで、認知症の進行を遅くすることもできるため、知識を身につけておくことは大切です。
そこで今回は、認知症の基礎知識、特に認知症の症状について説明していきます。

認知症とは
「認知症」は、病名ではなく、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたために、認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態のことを示す言葉です。認知症と言えば記憶障害のイメージが強いと思いますが、認知症では記憶だけでなく、認知機能全体が障害されるため社会生活に支障をきたしてしまいます。
認知症の原因となる病気には様々なものがありますが、もっとも割合の高い病気は、脳の神経細胞が通常よりも速いスピードで減少し、脳が委縮してしまうアルツハイマー型認知症で、全体の67%を占めるとされています。次いで、脳の血管が詰まったり、出血したりすることで脳が障害される脳血管型認知症が19%、レビー小体という異常なたんぱく質が脳に現れ、神経細胞が減少するレビー小体型認知症が5%という割合になっています。原因となる疾患によって認知症の症状は変わってきますが、認知機能が低下するという点は共通しています。

認知機能とは
認知機能とは、理解、判断、論理などの知的機能のことを言い、五感(視る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう)を通じて外部から入ってきた情報から、
・物事や自分の置かれている状況を認識する
・言葉を自由にあやつる
・計算する、学習する
・何かを記憶する
・問題解決のために深く考える
などといった、人の知的機能を総称した概念です。 
認知症ではなくても加齢によって認知機能は変化します。加齢の影響は認知機能を構成するそれぞれの要素によっても異なります。教育や学習などの社会文化的経験によって発達した能力は、高齢になっても比較的良く保たれます。高齢になっても活躍をする芸術家、文芸家、政治家、組織や企業の指導者などは、世の中にたくさんいます。それに対し、新しい環境に適応するために問題を解決していく能力は、加齢に伴ってその機能が低下することが知られています。また、脳内での処理速度が加齢に伴って遅くなっていくため、課題を遂行するのが総じて遅くなっていき、瞬時の反応や判断というものは苦手になっていきます。
 
認知症の症状
このような認知機能が生活に支障が出るレベルまで低下した状態が認知症と言われますが、主な症状として「記憶障害」「見当識障害」「失語」「失行」「失認」「遂行機能障害」の6つがあります。

・記憶障害
記憶には、記銘(まず何かを覚えること)、保持(覚えた記憶を情報として維持すること)、想起(維持している情報を思い出すこと)の3つの流れがあります。誰でも、若い時から物忘れをすることがありますが、通常の物忘れでは「想起」が問題となっている場合が多いと考えられています。加齢による物忘れも同様です。ですから、思い出すきっかけやヒントがあれば思い出すことができます。また、買い物や外出した時に、何を買ったか、何があったかという出来事の一部を忘れてしまうことはありますが、出かけたこと自体を忘れてしまうことはありません。
一方、認知症の記憶障害では、はじめの「記銘」が問題となります。ですから、ヒントなどを出しても、記憶の記銘自体ができていないので、思い出すことはできません。また、出来事自体を忘れてしまったり、忘れているということを自覚できていない場合があります。そのため、話をしていてもつじつまが合わないことや、何度も同じ話を繰り返す、話の脈絡をすぐ失うということが多くなってきます。また、物を無くしやすくなり、盗まれたと勘違いしてしまうこともあります。新しいことは覚えられませんが、昔から覚えていることや、楽器や裁縫、家事などの手続き記憶といわれるものは比較的保たれるのも特徴です。
加齢による物忘れと、認知症の記憶障害とを区別するポイントは、物忘れをしている自覚があるかどうか、日常生活に支障があるかどうか、ヒントやきっかけがあれば思い出せるかどうかという点になります。認知症であると気が付くきっかけはこの記憶障害であることが多いので、注意するポイントになります。

・見当識障害
見当識とは、自分が置かれている状況、例えば年月日、時間、季節、場所、人物などの状況を正しく認識する能力です。見当識に障害が起きると、今日は何月何日か、今が何時か、今自分がどこにいるのか、誰と話をしているかなどが正確に認識出来なくなります。
そのため、遅刻をする、外出の準備ができない、慣れている道でも道順がわからなくなる、トイレの場所が分からなくなるなどの症状があらわれます。

・失語
失語とは話をできる機能は保たれていても、会話ができない状態のことです。失語には運動性失語という「聞いた言葉は理解できるが話せない」ものと、感覚性失語という「話はできるが言い間違いが多かったり話の内容が理解できていない」というものの、2種類があります。

・失行
失行とは、運動障害が見られないにもかかわらず、日常生活で普通に行っている行動ができなくなることです。例えば、ネクタイが結べなくなる、着替えができなくなる、うがいができなくなると言った日常動作ができなくなります。

・失認
失認とは、目や耳などの異常はみられないが、物体を認識できない、周りの状況を理解することができなくなることです。例えば、普段歩き慣れている道が分からなくなる、道具の使い方が分からなくなる、赤信号を見ても止まらない、などの症状があらわれます。

・遂行機能障害
遂行機能障害とは、計画を立てて物事を行うことができなくなることです。例えば、料理をするときには、まず、作る料理を決めて、同時進行で野菜を切ったり、お湯を沸かしたり、調味料を適量で使ったりと様々な作業を計画的に行う必要があります。それができなくなるので、料理を作れても時間がかかるようになってしまったり、味が変わってしまったりします。また、何か問題が起きたときにはうまく対処できなくなってしまいます。

このような、認知機能の低下による症状を認知症の「中核症状」と言います。
一方、中核症状によって引き起こされる二次的な症状を「行動・心理症状」や「周辺症状」と言います。中核症状が元となって、行動や心理症状に現れるもので、本人の性格や環境、心理状態によって出現するため、人それぞれ個人差があります。
例えば、認知症になり、様々な認知機能が落ちてくると、日常生活に支障が出てきます。できないことが増えることから、気分が落ち込む(抑うつ)状態が見られることがあります。この抑うつや不安が行動・心理症状の一つで、比較的初期から多くの人に見られる症状です。意欲の低下や不眠、食欲が落ちたり何事にも興味を示さなくなるなどの症状もあらわれるので、うつ病とも誤解されがちですが、認知症の行動・心理症状としてのうつ状態です。うつ病が悲観的なのに対し、認知症によるうつ状態は無関心が多いと言われています。
行動・心理症状の行動症状として睡眠障害や徘徊、介助への拒絶、異食・過食、徘徊、暴力、不潔行為などがあり、精神症状として不安、抑うつ、怒りっぽくなる、意欲の低下、妄想、妄言、幻覚などがあります。多岐にわたる症状で、介護者にとっても大きな負担になります。しかし、行動・心理症状は本人の心の表現であり、このような症状があらわれるのはそれだけストレスがかかっているという証拠でもあります。環境や対応を変え、本人の負担を軽減することで、行動・心理症状が改善するということもあります。

おわりに
今回は、認知症の基礎知識として、認知症の症状について説明してきました。通常の加齢による変化と認知症による変化を見極め、早めに対処することで認知症の進行を遅くすることもできます。しかし、最も大切なのは、認知症にならないように予防をするということです。認知症には、睡眠や運動、食生活などの生活習慣が大きく影響を与えます。また、糖尿病や、高血圧などの生活習慣病も認知症のリスクになることが分かっています。
鍼治療は、これらの生活習慣病に対して効果があることを示しています。また、鍼治療は認知症の認知機能の低下に対して効果があるという研究も報告されています。ですから、生活習慣の改善とともに是非、鍼治療を取り入れて、認知症の予防をしていきましょう。

引用・参考文献
・総務省統計局 統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1130.html
・認知症施策の現状 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000...Soumuka/0000069443.pdf
・デール・プレデセン:アルツハイマー病 真実と終焉. ソシム.2018 
・池上晴之:NHK今日の健康大百科NHK出版.2010
・黒野保三.長生き健康「鍼」.現代書林.2008
・Bai-Yun Zeng.Effect and Mechanism ofAcupuncture on Alzheimer'sDisease. International Review of Neurobiology;Volume 111.181-93.2013
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

カレンダー

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

月別アーカイブ