• 膨大な臨床鍼灸の研究実績
  • 91.9%の効果を実証
  • 早い・短い痛くない治療

コラム

2012年7月 1日 日曜日

悪玉HDL-Cについて 東洋医学研究所®グループ弥富鍼灸院 院長 服部 輝男

平成24年6月1日号

HDLコレステロールが全て善玉とは限らない
 私が循環器疾患を勉強し始めたころから、HDLコレステロールは多いほどよいとされてきましたが、最近様子が変わり、「健康診断・血液検査MAP」のサイトから下記のようなメールが送られてきました。

 「LDLコレステロールは悪玉、HDLコレステロールは善玉と呼ばれていますが、近年、構成蛋白の酸化や欠損などにより、機能に異常をきたした酸化HDLや機能不全HDLといった悪玉HDLの存在が明らかになってきました。」というメールです。
 ここでLDLコレステロール、HDLコレステロールがそれぞれ悪玉と呼ばれたり、善玉と呼ばれたりする理由を思い出してみましょう。
  LDLとHDLはコレステロールを運びますが、まったく逆の方向に運びます。HDLはコレステロールを末梢の組織から肝臓に運搬するのに対して、LDLはコレステロールを肝臓から末梢組織へ運搬します。ということは、この場合の末梢は体の隅々の血管と考えられるので、末梢にコレステロールがたまるということは血管などについて、動脈硬化などを起こす可能性を引き上げることになります。そこで、反対の作用をもっているHDLが頑張ってコレステロールをもとに戻しているから、HDLはたくさんあった方が良いということになります。また、HDLには酸化を抑える、炎症をとめるなどに代表的とされる体にとって良い作用もたくさん報告されています。
  その作用に期待してHDLを増やす薬が開発されました。その代表的なものが、コレステロール転送蛋白(CETP)阻害薬と呼ばれるものです。
 そして実際の結果が報告されています。「CETP阻害薬の一つとして開発されたtorcetrapibは、12ヶ月間投与の結果、HDLコレステロール値が狙い通り72.1%上昇しましたが、心血管イベントの発生率や総死亡率が有意に増加したことが判明し、開発は中止となっています。考えられる原因として、CETP阻害薬によって増えたHDLが機能不全HDLであった可能性があります。
 CETPがもともと欠損するCETP欠損症の患者のほとんどは、HDLコレステロールが高値になります。HDLが100mg/dl以上になる高HDL血症は、動脈硬化抑制作用が強く、長寿につながると考えられてきましたが、CETP欠損症患者は同年齢の健常者に比べ、頚動脈の動脈硬化が進んでおり、冠動脈疾患を有していたり、長寿でないことが判明しました。」と述べられております。
 このように、理論どおりの正しいHDLが増えれば、HDLの機能が増強できることは容易に想像できますが、現実にはそのようにはいきません。
 HDLが機能不全になるのは、炎症や酸化が原因と言われています。例えば、喫煙はLDLとともにHDLも酸化します。HDLの量のみならず、質にも注目すべきといえます。
 人間の体は日頃から健康管理をし、適正な体作りをすることが正しい反応が起きる基本となります。HDLのみならず、全身の質を上げる生活こそが肝心ではないでしょうか。

文献
http://www.kensin-kensa.com/archives/cat17/hdl_hdl-c/
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

2012年7月 1日 日曜日

知って防ごう動脈硬化5 東洋医学研究所®グループ  伸誠鍼灸院 院長 加納 俊弘

平成24年7月1日号
知って防ごう動脈硬化5
-必須不飽和脂肪酸バランス
EPA(エイコサペンタエン酸)/AA(アラキドン酸)比のお話-



現代の日本人と1960年代以前の日本人の食生活の最大の違いは皆さんもご存じの通り
肉とリノール酸系植物性油の摂取量であります。普通の家庭においては夕食に肉が出ればご馳走であったと思います。
現在は安い輸入肉のおかげで当たり前のように肉料理が食卓に並んでいたりファストフードで手軽に食されているのではないでしょうか?

 肉は決して体に悪い食材ではありませんが、当サイトのコラム(東洋医学研究所®所長黒野保三先生著、平成23年1月1日号)にも載せられているようにその量と比率が問題となります。
 肉などの動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸はご存じのように脂質異常症や動脈硬化を引き起こす原因となりますが今日、特に注目されているのは多価不飽和脂肪酸に含まれるリノール酸系(ω6)とαリノレン酸系(ω3)の摂取比率であります。


リノール酸系(ω6)脂肪酸とαリノレン酸系(ω3)脂肪酸は体内で代謝され、それぞれAA(アラキドン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)になります。これらは共に体に重要な細胞成分となりますが、他の脂肪酸と違い体内で合成することができないため必須脂肪酸と呼ばれます。
 ところが前記のように現代人の食生活はあまりにもAAが多くなり細胞の構成成分のEPA/AA比が崩れてていることが研究者によって明らかとなってきました。
 細胞構成におけるAAが多いと動脈硬化性疾患の発症・亢進[血小板凝集能が強くなり血管内プラーク(粥状動脈硬化)の亢進、血管内炎症の強い亢進によりプラークが破状しやすくなり血栓の惹起]につながります。また逆にEPAは動脈硬化の抑制作用[血小板の凝集抑制・白血球の抗炎症、粘着能低下作用・血管内皮機能改善、血管平滑筋の弾力性保持]と心筋細胞の抗不整脈作用[アディポネクチンの増加]があります。
また心臓冠状動脈イベント、心臓突然死・心筋梗塞、不安定狭心症はEPA/AA比が1.06以上で優位にリスクが下がり1.05以下に下がれば下がるほど発症リスクが高くなることが大規模臨床試験によって明らかとなってきました。
 最も危惧されるのは現代日本人のEPA/AA比年代別データによると55歳以上の平均は0.5以上ありますが、44歳以下若年層になるほど0.3を下回っている実態が明らかとなってきました。次世代の日本を担う若い方の健康が大変心配です。

 EPAの摂取量を増やす工夫も大切ですが、現代の加工食品のほとんどがAAを増やすものであることを認識することが最も大切なことだと思います。
 EPA/AA比は比較的新しい検査法でありやや高額な検査であるため一般的にはあまり行われていないように思いますが、高リスクの脂質異常患者さん(メタボリックシンドローム・糖尿病・冠動脈既往歴・脳卒中既往歴・閉塞性動脈硬化症)は一度、主治医の先生にご相談されることをお勧めいたします。
 最近EPAは手軽にサプリメントで摂取できますが、動脈硬化性疾患既往患者さんは出血傾向のあるお薬を飲んでおられる場合もありますので必ず主治医の先生にご相談の上、処方していただいて下さい。
このエントリーをはてなブックマークに追加

記事URL

カレンダー

2019年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

月別アーカイブ