• 膨大な臨床鍼灸の研究実績
  • 91.9%の効果を実証
  • 早い・短い痛くない治療

研究業績

2012年8月17日 金曜日

生体制御療法を使用した鍼治療の研究5・・・未病治に対する鍼治療

鍼治療による「健康・遅老」の健康管理および老化防止と生体防御機構の現象を基礎・臨床にわたり研究しました。

1.基礎研究

マウスの寿命は2~3年といわれており、月齢とともに組織・器官に老化による変化が現れることが知られています。2年間にわたって鍼治療を行ったマウスと何も治療しなかったマウスの膵組織、肝組織を摂取し、電子顕微鏡を用い比較観察を行いました。

月齢と共に膵外分泌細胞において、動物が若い場合には、細胞質内に限界膜のない結晶構造が出現しますが、この結晶構造が老化によって幼若化し繊維構造に変化しましたが、鍼治療を施したものにはこの繊維構造が観察されませんでした。

同様に膵島細胞の大食細胞も鍼治療によって活発化して貪食能が増加し、異物を多量に貪食して肥大します。また、大食細胞と脂質貯蔵細胞とが互いに接近して隣接する所見が認められました。


対照群
(鍼治療を施さなかったグループ)
マウスの膵外分泌細胞の結晶が繊維化(矢印)している。11,000倍
鍼治療群のマウスの膵外分泌細胞内の結晶構造(矢印)15,000倍

通常は細胞質内の結晶は老化によって繊維成分に変化するが、鍼治療によって再び結晶構造が見られるようになった。
鍼治療群のマウスの膵臓の間質結合組織内・外分泌部に出現した大食細胞(MP)とリンパ球(L)との接触。4,000倍
大食細胞も鍼治療によって活発化して貪食能が増加し、異物を多量に貪食して肥大する。
大食細胞と脂質貯蔵細胞とが互いに接近して接触する所見が見られた。

 
肝臓の組織所見において対照群ではグリソン鞘周辺部にリンパ球の浸潤あるいは他の間質細胞などの浸潤が認められ、肝細胞索は中等度に乱れて肝細胞の部分壊死が認められました。それに対して鍼治療群では対照群に見られる老化による組織の変化はあまり認められませんでした。また、間質への細胞浸潤は少なく、肝細胞索は比較的よく保たれていました。
 
以上の組織像所見からも推測できるように死亡率においても鍼治療群が低いことが確認されました。

鍼治療を施さなかったマウス 長期に鍼治療を施したマウス
 
    
2.臨床研究

①臨床鍼灸現場の実態
臨床鍼灸の現場において、長期に鍼灸治療を受療した患者から身体に様々な効果的変化があったことについて、種々報告を受けることがしばしばあります。
例えば東洋医学研究所ョをはじめ6治療院で、長期間鍼灸治療を受療した患者の自覚所見と、その患者に対する第3者の評価がどのような結果を示したかについて調査検討しました。
対象は、平成元年4月1日から平成3年3月31日までの2年間に健康管理または不定愁訴を有する患者で、3ヶ月以内に21回以上継続して生体制御療法としての鍼治療を受けた患者414例中5例以上同一解答のあった277例と、そのうち第3者から2例以上同一評価を受けた患者77例について調査しました。
調査をしたところ表1・2の結果が得られました。この調査結果をみると生体制御療法を長期間受療した患者がいかに生体に良い影響を与えているかがうかがい知れるのであります。


表1 長期鍼治療継続患者の自覚所見

1.健康に自身がつき身体が軽く、調子が良い 21
2.食欲が出てきた。食事がおいしくなった 1
3.やる気が出て、よく仕事ができるようになった 17
4.疲れにくくなり、寝起きが良くなった 16
5.よく眠れる。寝つきが良く、ぐっすり眠れる 15
6.目が疲れにくくなり、良く見えるようになった 12
7.肩こりが楽になった 12
8.膝の痛みが楽である 11
9.足の運びが良く、さっさと歩ける 11
10.風邪をひきにくくなり、ひいてもすぐ治る 10
11.生理が順調になった。楽に動ける 9
12.胃の具合が良くなった 8
13.気持ちが明るくなり楽しくなった 6
14.皮膚がうるおった感じがする 6
15.お通じ(下痢・便秘)が良くなった 6
16.頭痛がしなくなった 6

表2 長期治療継続患者に対する第3者の評価

1.元気になったと言われた 8
2.表情が明るく生き生きしてきたと言われた 7
3.身体や歩き方がしっかりしてきたと言われた 6
4.若返ったと言われた 5
5.顔色が良くなったと言われた 5
6.身体が細くなったと言われた 3
7.肥えてきたと言われた 3
8.顔や肌に艶が出てきたと言われた 3
9.声がしっかりしてきたと言われた 3
10.よく食べるようになったと言われた 2
11.体力がついたと言われた 2
12.動作が早くなったと言われた 2
13.最近やる気が出てきたと言われた 2
14.髪の毛の艶が良くなった。黒くなったと言われた 2

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2012年8月17日 金曜日

生体制御療法を使用した鍼治療の研究4・・・高血圧に対する鍼治療

高血圧に対する鍼治療として足三里穴を使用する頻度が多い。そこでこの足三里穴刺鍼の血圧に及ぼす影響を臨床的に研究しました。
 平成9年6月21日から平成10年8月30日までを募集期間とし、この期間中に最低8回以上鍼治療を行った患者を対象として多施設ランダム化臨床比較試験を行ったので報告します。

東洋医学研究所ョと東洋医学研究所ョグループ10治療院に来院した初診患者に血圧測定を行い、高血圧状態と判定した患者に対して全例に生体制御療法を行いました。今回は収縮期血圧140mmHg 以上かつ拡張期血圧90 mmHg 以上の症例に対し、封筒法により以下のように分類し、血圧値の推移を比較検討しました。

A群:生体制御療法+主訴に対する局所療法+足三里穴に対する単刺術及び円皮針
B群:生体制御療法+主訴に対する局所療法

結果は収縮期血圧値において、 A群では有意な変動は認められませんでしたがB群では有意な変動が認められました。また、両群間での差は認められませんでした。拡張期血圧値において、 A群B群共に有意な変動が認められましたが、両群間では有意な差は認められませんでした。
このことから、足三里穴に対する血圧値に及ぼす影響は認められなかったが、両群の血圧値の有意な変動は生体制御療法によるところが大きいものと思われます。
 
以下、高血圧症患者に対する鍼治療の一症例を紹介します。


【 症 例 】
63歳女性 主訴:右肩が痛む

10年以上前に集団検診で血圧が高いといわれ、近所の内科医院を受診し高血圧症といわれた。この時から降圧剤、尿酸合成阻害薬の服用をはじめた。 1ヶ月前より右肩の痛みがひどく、夜に痛みで眠れない日が続き、肩関節の可動域の制限があり、イライラがひどくなってきたので知人の紹介で鍼治療を開始した。
154/82mmHgであったが、1ヶ月後16回目来院時に130/74mmHgとなりイライラも減り、肩の痛みはやや緩和されペインスケール 10⇒7 夜1回目がさめる程度となったので、担当医に相談後、薬の服用を全て中止した。その後の経過も良好で 2ヶ月後にはイライラは消失、ペインスケール10⇒4、血圧値148/88mmHgとなった。現在も薬の服用の必要もなく経過は良好である。
 
降圧剤等は一生飲み続けなければならない場合が多いにもかかわらず、今回のように生体制御療法により血圧値の安定化が持続し、薬の服用を中止できた事は興味ある結果でありました。
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2012年8月17日 金曜日

生体制御療法を使用した鍼治療の研究3・・・糖尿病に対する鍼治療

今日の糖尿病治療の目的は一次予防(糖尿病の発症を予防する)と二次予防(糖尿病の合併症を予防する)および三次予防(合併症を管理して、重篤な臓器傷害の状態または死に至らないよう予防する)であります。
糖尿病治療は食事療法や運動療法が根本治療であり、現在のところ経口血糖降下剤やインスリン療法などの薬物療法以外に治療法がありません。
東洋医学研究所における現在までの糖尿病に対する鍼治療の基礎研究や臨床研究では、鍼治療により糖尿病動物および糖尿病患者に対し副作用などの悪影響がみられたことが全く無く、糖尿病に対する鍼治療の有効性を見出すことができました。

1)基礎研究

①ストレプトゾトシン糖尿病ラットに対する鍼治療の効果
糖尿病には多くの病型があり、病態も多種多様であり、ストレプトゾトシン処理による糖尿病はインスリン依存型といわれています。我々は鍼治療の糖尿病への有効性について検討するため、ストレプトゾトシン糖尿病ラットに対し鍼治療を行い、空腹時血糖値および体重の変化について検討しました。その結果、鍼治療群は対照群に比べ空腹時血糖値において有意な低下が認められました。また鍼治療群は対照群に比べ体重が増加する傾向にありました。さらに、鍼治療群に比べ体重1g当りの空腹時血糖値において有意な低下が認められました。


2)臨床研究

糖尿病は極めて複雑な疾患で発症には遺伝や環境が重要な因子となり、インスリンの作用不足を招き、糖負荷試験に一定の異常を示す病態でありますが、単純に定義できうるものではありません。
このことから治療効果を客観的に検討することは極めて困難であります。そこで、糖尿病に対する鍼治療の有効性を客観的に検討する目的で、慈恵医大第3内科糖尿病専門外来で池田義雄らが使用していました問診表および(社)全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班・慢性肝機能障害班のカルテを参考に(社)生体調整機構制御学会研究部生活習慣病班糖尿病カルテを作成しました。
このカルテを用い糖尿病に対する鍼治療の有効性を検討した症例を紹介します。

①症例1(食事療法が不充分で症状が悪化した症例)
72歳男性 主訴:糖尿病で体がだるい

5年前に随時血糖値約300mg/dlで糖尿病と診断され、食事療法の指導を受ける。その後、食事療法が充分に行われず2ヶ月前に両手のしびれ、右の瞼が開かなくなり糖尿病性の脳梗塞と診断される。1ヶ月間入院し経口血糖降下剤と食事療法をおこなったが両手のしびれ、体のだるさがとれず鍼治療を開始する。
初診時の食後2時間血糖値は204mg/dl、糖尿病自覚症状点数は12点。6ヶ月の鍼治療により食後2時間血糖値が164mg/dl、糖尿病自覚症状点数は4点になった。
このことは鍼治療は糖尿病に対し有効であり、また糖尿病の自覚症状の改善に対しても鍼治療が有効であることが示唆された症例であります。

②症例2(インスリン療法による低血糖状態患者の症例)
68歳女性 主訴:糖尿病があり両膝が痛む

5年前に空腹時血糖値400mg/dlで糖尿病と診断され、入院治療
(インスリン療法・食事療法)によって空腹時血糖値は100mg/dlとなった。退院後もインスリン注射を継続している。
しかし、体がだるく疲れやすい、手足がしびれる、目がかすむ、膝が痛いという症状があるので鍼治療を希望して来院され、鍼治療を開始する。
初診時の食後3時間血糖値は64mg/dlであったことから、インスリン療法による低血糖が誘因と考えられ、糖尿病専門医の指示にしたがってインスリン注射の投与量を減らすとともに、鍼治療を行い全身管理をした。
5ヶ月間の鍼治療によって空腹時血糖値は94mg/dlと安定し、糖尿病自覚症状点数は10点から2点へ改善した。
このことは鍼治療は血糖値を正常な状態にコントロールしていく一つの手段となりえることが示唆され、自覚症状の改善に対しても鍼治療が有効であることが示唆された症例であります。
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2012年8月17日 金曜日

生体制御療法を使用した鍼治療の研究2・・・慢性肝機能障害に対する鍼治療

1)基礎研究

①実験的肝傷害に対する鍼の効果についての超微形態学的研究
 四塩化炭素を投与した肝傷害モデルマウスと鍼治療を施したマウスにおける肝臓の超微形態を比較観察しました。 
肝傷害マウスでは、肝細胞核内に偽核封入体の出現、核小体の変形、ゴルジ装置の萎縮、糸球体の変形およびクリステの消失など、一連の細胞機能低下とともに、しばしば巨大な自家食胞が出現しました。鍼治療によって四塩化炭素投与による肝細胞の傷害はほとんど消失しました。 ②薬物性肝傷害に対する鍼の予防効果についての実験的超微形態学的研究
 あらかじめ鍼治療をおこない四塩化炭素を投与したマウスと何も処置をせず四塩化炭素を投与したマウスにおける肝臓の超微形態を比較観察するとともに死亡率を検討しました。

 何も処置をせず四塩化炭素を処置したマウスでは、①の実験と同様な肝傷害が観察されました。ところが、あらかじめ鍼治療を処置しておくとこの肝傷害変化は観察されませんでした。また、四塩化炭素を投与すると72時間以内にマウスが全滅しましたが、鍼治療はこの死亡率を約80%に減少させました。

 このことは、鍼治療が肝臓毒である四塩化炭素の毒性に対して予防的に働くことを証明しました。



マウスに鍼を施しているところ


2)臨床研究

①慢性肝機能障害カルテ作成の基礎的検討
 慢性肝機能障害の重症度あるいは効果判定基準を作成するために、肝機能検査値、自覚症状、他覚的所見の項目を選択するにあたり、医師によって肝硬変と診断された2名と慢性肝炎と診断された3名に対し、7~91日間にわたり鍼治療を施し、治療前と治療期間中に月1~2回肝機能検査を受けさせました。鍼治療は生体制御療法+証と主訴によって選穴しました。

66歳男性 肝硬変 
自覚症状:夜間の発作性心悸亢進、不眠、全身倦怠感

1958年輸血による血清肝炎(黄疸を併発)、1973年大学病院にて肝硬変と診断、治療を受けていたが、夜間の発作性心悸亢進、不眠、全身倦怠感が出現したため、鍼治療を開始した。

初診時GOT:235,GPT:210であった。20回の鍼治療で主訴である夜間の発作性心悸亢進、不眠、全身倦怠感は消失し、GOT:165,GPT:170と改善されたためいったん治療を中止した。
しかし、1ヵ月後不眠、全身倦怠感が出現、GOT:200,GPT:210と上昇したため鍼治療を再開し10回で訴えは消失し、GOT:130,GPT:135と改善され安定した。

52歳男性 肝硬変
自覚症状:全身倦怠感、発作性心悸亢進

1972年肝硬変と診断されてから、入退院を繰り返し、症状は一進一退であったので鍼治療を開始した。初診時GOT:150,GPT:110であった。30回の鍼治療で主訴は消失し、GOT:10,GPT20と改善された。

38歳男性 慢性肝炎
自覚症状:全身倦怠感、右季肋部と心窩部に鈍痛、全身躁痒感、易疲労感

1976年慢性肝炎と診断され入院、退院後の症状は一進一退を続けていたので鍼治療を開始した。15回の鍼治療で主訴は消失したが、初診時のGOT:60,GPT:105は改善されなかった。

29歳男性 慢性肝炎
自覚症状:腰背部に鈍痛、眠りが浅い、倦怠感、易疲労感、気力がない

小学3年輸血、その後血清肝炎。
1976年慢性肝炎と診断、治療。症状の経過が一進一退であったため鍼治療を開始した。初診時GOT:105,GPT180であった。
7回の鍼治療で主訴は消失し、GOT:55,GPT:80と改善された。


29歳男性 慢性肝炎
自覚症状:起床時倦怠感、食欲不振、悪心、頭痛、不眠、
右季肋部に圧痛、体重減少

1977年急性肝炎と診断、入退院後、体調が悪いので鍼治療を開始した。初診時GOT: 81,GPT:47であった。8回の鍼治療で自覚症状は消失し、GOT:37,GPT:25と改善された。

 これらの結果から、肝硬変、慢性肝炎に鍼治療は有効であることが示唆されました。
 以上の5症例の自覚症状を中心に比較的よく現れると思われる自覚症状、他覚的所見を加えるともに、肝障害の程度をよく把握できると思われる6項目の生化学的検査を選びました。自覚症状、他覚的所見、肝機能検査値の点数を定め、重症度、効果判定ができるカルテを作成しました。

 このカルテにより126症例を集積し分析を行った結果、自覚症状点数の平均では、6ヶ月治療群(n=12)初診時13.8±2.2→6ヵ月後5.8±0.95。9ヶ月治療群(n=12)初診時14.3±2.1→9ヵ月後5.6±1.4となり、有意(p<0.005)な減少が認められました。GOTの平均では、6ヶ月治療群(n=19)初診時142.6±34.2KU→6ヵ月後56.9±5.8KU。9ヶ月治療群(n=15)初診時106.9±12.2→9ヵ月後49.9±1.47.9KUとなり、有意(p<0.05)な減少が認められました。GPTの平均では、6ヶ月治療群(N=19)初診時197.2±47.5KU→6ヵ月後79.8±10.4KU。9ヶ月治療群(n=14)初診時152.3±29.5→9ヵ月後58.3±6.7KUとなり、有意(p<0.05)な減少が認められました。

 このことは、慢性肝機能障害に対する鍼治療の有効性が示唆されました。また、鍼治療期間は6ヶ月よりも9ヶ月と長く続けたほうがより鍼治療の効果が高まることが認められました。
 
 以下に代表的な症例を紹介します。

②症例 29歳女性 :慢性肝炎
:全身倦怠感、起立性貧血

1983年慢性肝炎と診断。1984年左卵巣脳腫摘出(GOT:110,GPT:110)。その後GOT156→169、GPT115→343と上昇全身倦怠感、起立性貧血、下肢がだるい、食事が進まない、食欲がない、食事後気持ちが悪い、頭痛、頭重感、イライラ、不安感、腹痛などを訴え、主治医に紹介され来院し、鍼治療を開始した。

42回の鍼治療により、自覚症状はイライラ、不安感を除き消失し、自覚症状点数は30点→8点となった。肝機能検査値では総蛋白8.3→8.6、総ビリルビン0.6→0.9、A/G1.12→1.13、 GOT169→26、GPT343→59、γ-GTP20→5、ZTT19.8→15.8、TTT7.6→4.7となる。

結果、GOT、GPT、γ-GTPは有意に変動しました。総蛋白、総ビリルビン、A/Gは正常か正常値に近いため、大きな変動は認められませんでした。自覚症状は有意に変動しました。GOT、GPT、γ-GTPと自覚症状は同一パターンで有意に変動した症例であります。
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2012年8月17日 金曜日

生体制御療法を使用した鍼治療の研究1・・・不定愁訴症候群に対する鍼治療

N大学病院心療内科で1年以上症状が固定している患者に対し、生体制御療法を目的とした鍼治療を行い、健康チェック表の評価基準を使用して評価しました。鍼治療は生体制御療法(黒野式全身調整基本穴)を使用し、1クールを7回として3クール終了時点で評価しました。

対象患者の重症度は健康チェック表に基づく不定愁訴指数により分類すると、重症1名、中等症3名、軽症4名でありました。初診時の不定愁訴指数の点数がそれぞれ44点、23.8点、11.8点であったものが最終時には13点、7.3点、5.8点となり、どの重症度においても有意な減少が確認できました。


不定愁訴指数減少率
N大学付属病院心療内科にての1年以上症状固定期間を
コントロールとした鍼治療開始からの不定愁訴指数減少率




このことは、不定愁訴症候群に対する鍼治療(生体制御療法)の有効性が示唆されます。
 
以下、代表的な不定愁訴に対する鍼治療症例3例を紹介します。


28歳女性 主訴:体がだるく思うように動けない

大学卒業後就職をきっかけに頭痛、首の凝り感がいつも存在し、からだが思うように動かなくなった。病院では特に原因がわからなかったが睡眠薬、精神安定剤の服用を指示された。
しかし、一向に症状の改善がみとめられないことから、鍼灸治療を開始した。
3クールの鍼治療により不定愁訴指数は23点→17点に減少し、主訴である体がだるく思うように動けないは、ほとんど消失した。
このように病理的兆候が認められていないが、身体症状を訴えている不定愁訴症候群患者への鍼治療の有効性が示唆されました。

57歳女性 主訴:肩がこり首が痛い、後頭部が痛い

33年前の出産を契機に発症。その後も育児や家事で気が休まることがなく症状が現在まで継続している。加えて、8年前に喘息を指摘されたが、薬にアレルギー反応を示すために強い薬は使えず首肩のこり、頭痛は増強し、疲労感、不眠も発症。
3クールの鍼治療により不定愁訴指数は39点→22点に減少し、主訴である後頭部痛は消失、肩がこり首が痛いは軽減した。このように喘息をともなっていた患者に対しても、身体症状を訴えている不定愁訴症候群患者への鍼治療の有効性が示唆されました。

62歳男性 主訴:体温調節ができない

20年前に結核を発病。その後、体温調節の異常に気づくが治療はしなかった。定年をきっかけに一層ひどくなり、医療機関を8箇所受診するが、原因が特定できず治療されなかった。自覚症状としては、気温30度を越える日でも寒さを感じたり、汗も異常に多く出たり、まったく出なかったりと安定せず、手足の冷え、食欲不振も感じていた。5クールの鍼治療により不定愁訴指数は33点→18点に減少し、体温調節の安定化と共に症状の軽減が観察されるようになった。
このように、明らかに自律神経が関与する身体症状に対しても鍼治療の有効性が示唆された症例であります。
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