糖尿病通信

2017年9月 1日 金曜日

糖尿病通信29 身体は24時間働いています

○彼を知り己を知れば百戦して危うからず
「孫氏の兵法」の名言の一つ。戦において、敵と味方のことを熟知していれば負ける心配はない、ということを説いています。
糖尿病についても同じことで、自分の身体のことを知っていれば、良好な血糖コントロールを持続することは可能です。
今回は、ご自身の血糖値の状態を把握し、より良い血糖コントロールを得る、すなわち糖尿病管理のためのツールが普及し始めています!というお話です。

○持続血糖測定器
アボットジャパン(株)から「FGM(フラッシュグルコースモニタリングシステム)」という持続血糖測定器「FreeStyleリブレ」が開発されています。


特徴
・上腕に挿入したセンサーは14日間有効
・15分毎に血糖値を測定記憶できる
・リーダーを近傍に近づけるだけで瞬間的に血糖値
 (皮下間質液中のグルコース濃度)が測定できる
・穿刺による痛みがない
・自己血糖測定による血糖値補正が不要なこと

○2週間分のデータ
従来の自己血糖測定では、測った時点のみの血糖値しかわかりませんでした。
しかし、FGMを使用すれば、いつでもどこでも何度でも血糖測定ができますので、どんなものを食べたら血糖値が上昇するのか?運動の種類によっての変化は?薬は適切に効果を発揮しているのか?などをリアルに知ることができます。
また、24時間のデータを2週間分得ることで、24時間の血糖値のパターンを知ることができます。
例えば、空腹時血糖値や食後2時間血糖値が正常でもHbA1cが高値を示すことがあります。通常の検査ではどこで血糖値が高いのかは正確にはわかりませんが、FGMを使えば、食後血糖値が高くて持続してしまうのか?夜間寝ているときに高いのか?仕事中に乱高下するのか?など、どの時に高いのかが分かり、HbA1cが高くなる原因を予測することができます。
1型糖尿病や2型糖尿病のインスリン治療中の方はもちろん有用ですが、糖尿病予備軍や食事・運動療法のみの方、または糖尿病でなくてもご自身の血糖状態を把握したい方、健康管理などにもとても有用な検査と思われます。
 
○私も使ってみました
私自身の血糖状態を知りたかったので早速試してみました。そして、食事による血糖値の上昇に変化があるのは本当か、など興味があることを試しましたので、次回、感想と共に報告します。

        (文責 山田篤)
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投稿者 東洋医学研究所 | 記事URL

2017年8月 1日 火曜日

糖尿病通信28 お酒は飲んでも良いですか?

○百薬の長というけれども
暑い外でお酒を飲むには気持ちいい時期になりました。
酒は百薬の長、適度に付き合えは最愛の友になりますが、飲み過ぎると身を滅ぼす刃となります。
糖尿病があるとお酒との付き合いが益々シビアになります。アルコールを処理する肝臓は血糖をコントロールする臓器でもありますので、肝臓への負担が大きくなる可能性があるからです。そこで、今回はお酒と糖尿病についてのお話です。 
○酒は2種類あり
お酒には製造方法によって大きく分けて「醸造酒」「蒸留酒」があります。
「醸造酒」はビール、日本酒、ワインなど。「蒸留酒」は焼酎、ブランデー、ウイスキーなど。
違いといえば、原料となる米や麦芽などに含まれる「糖質」をアルコールに変えるのか、蒸留してアルコール成分を抽出したものの違いです。
「醸造酒」は原料となるものが糖質ですので血糖値は上昇するし、「蒸留酒」の原料に糖質は含まれませんので血糖値を上昇させることはない、ということになります。
では、「蒸留酒」を飲めば問題ないのではと思いますが、そうは問屋が降ろさないのが糖尿病です。

○ハイリスクローリターン
アルコール自身は血糖値を上昇させませんが、お酒を飲むことでのリスクとしては
・アルコールによる肝臓内のグリコーゲン分解促進
・飲み過ぎ、食べ過ぎでカロリーオーバーになりやすい
・味の濃い食べ物を欲し、塩分の摂り過ぎになりやすい
・中性脂肪が高くなりやすい
・アルコール性の低血糖が起こりやすい
などあります。一時的に血糖値を上昇させたり、血糖コントロールが乱れたり、肥満、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、肝機能障害を起こしやすくなります。
メリットとしては適度な飲酒は心筋梗塞などの冠動脈疾患による死亡率が低い傾向にあることやリラックス効果がありますが、糖尿病のある方はアルコール摂取のデメリットの方が大きいのではないでしょうか?

○血糖コントロールはしっかりできていますか?
表題の「お酒は飲んでも良いですか?」の答えです。糖尿病のある方は上記のことから原則NGですが、血糖コントロールができている方は可(医師とご相談)、ということになります。
ポイントとしては、お酒の種類は「蒸留酒」や糖質オフを選ぶこと、お酒がおいしいからと言って飲み過ぎ食べ過ぎに注意すること、体調の良いときに飲むことなどです。お酒はほどほどに、自制心をもって付き合いたいものです。

        (文責 山田篤)
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投稿者 東洋医学研究所 | 記事URL

2017年7月 1日 土曜日

糖尿病通信27 レジスタントスターチ

○前回のあらすじ
先月(糖尿病通信26)では、難消化性デキストリンを含めて食物繊維が注目されていること、食物繊維の種類、難消化性デキストリン入りの飲料は本当に効果があるのか?というお話でした。
今回は前回の続きで、食物繊維の効果的な利用法と食物繊維の新しい情報についてのお話です。

○食べる順番で効果的に
前回、難消化性デキストリン入りの飲料の効果は過度に期待しない方がよい、と書きましたが、私の場合は「食後血糖値上昇抑制」に注目です。
食後血糖値の急上昇は糖尿病や動脈硬化を引き起こし易くなりますし、急上昇からの急降下は強烈な眠気や低血糖を引き起こすこともあります。そこで、食事時にまず食物繊維、特に不足になりやすい水溶性食物繊維を含めた食べ物や飲料を摂取します。そうすると腸で食物繊維が留まり、後に入ってきた糖や脂肪の吸収をおだやかにする効果が期待できます。
難消化性デキストリン入りの飲料でも個人的には効能が実感できるところで、同じような食事でも飲むと飲まないのとでは食後の眠たさの違いを感じることは良くあります。
上記のことから食べる順番を、①まず野菜を大量に食べたり難消化性デキストリン入りの飲料などで食物繊維を摂取②糖質よりはたんぱく質や脂肪の方が血糖上昇は穏やかなので、肉や魚などのたんぱく質や脂肪を摂取③最後に食後の糖の吸収が急上昇し易いごはんやパンなどの炭水化物、とすると良いです。
もっと簡単にいえば、①野菜などの食物繊維②肉や魚③米やパンなどの主食の順番で食べますと「食後血糖値上昇抑制」が実感しやすいです。

○第3の食物繊維
食物繊維は進歩していまして、第3の食物繊維とよばれる「レジスタントスターチ」が注目を集めています。
レジスタントスターチの訳は「難消化性でん粉」。通常のでん粉は消化されやすいのですが、レジスタントスターチは消化され難いでん粉で、水溶性と不溶性の両方の特性を持った食物繊維です。
また、通常の食物繊維は消化され易く大腸までは届き難いのですが、このレジスタントスターチの最も注目されていることは、大腸の奥まで届くということです。
なぜ大腸に届くと良いのでしょうか?それは、腸内フローラが関わっています。腸内細菌、特に善玉菌のエサの一つが食物繊維で、大腸に食物繊維が増えれば善玉菌が増えて腸内フローラの環境が改善されます。
最近では、一般の大麦と比較してレジスタントスターチを多く含む大麦がオーストラリアで開発され、この大麦を含む食材が販売されています。今後も様々な形で含まれ、コンビニエンスストアなどでの食物繊維入り飲食物の棚はますます賑やかになるでしょう。
いずれにしても、大事なのは、どの特定保健用食品や機能性表示食品と表示されている飲料水にも書いてあるように、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」が基本です。その上で上手に利用していきましょう。
            
   (文責 山田篤)
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投稿者 東洋医学研究所 | 記事URL

2017年6月 1日 木曜日

糖尿病通信26 難消化性デキストリン

○難消化性デキストリン?
コンビニエンスストアの目立つ場所に置いてある、特定保健用食品や機能性表示食品と表示されている飲料水。最近ではお茶や黒いソーダ水など種類が増え、各社効能を謳って販売されています。
その飲料の原材料に「難消化性デキストリン」が含まれていることが多いです。難しい横文字で特別なものと思われますが、単に「食物繊維みたいなもの」です。
そこで今回は、「難消化性デキストリン」を含めた「食物繊維」のお話です。
                
○炭水化物=糖質+食物繊維
最近の栄養成分表示は、食品によっては少し書き方が変わってきています。以前は「糖質○g」でした。最近ではまず「炭水化物○g」、そこから枝分かれして「糖質○g、食物繊維○g」と書かれています。
分ける理由として考えられるのは、糖質が血糖値を上げるため、血糖コントロールや体重に関係すること、もう一つはわざわざ「食物繊維」が入っていますよ、ということを強調したいためと思われます。

○水溶性食物繊維に注目!
食物繊維は大きく分けて2種類があります。
一つ目は不溶性食物繊維。効能は胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して便通を良くします。
もう一つは水溶性食物繊維。効能は食後中性脂肪の上昇抑制、整腸作用、食後血糖値の上昇抑制など注目されていますが、不足気味になりやすいです。
そこで特に水溶性食物繊維不足を補う目的で作られたのが「難消化性デキストリン」です。
 
○本当に効果があるの?
上記のことから各社とも「食物繊維」=「難消化性デキストリン」が含まれていることを示し、「食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」と効能をアピールしています。各社のホームページをみても、難消化性デキストリン入りの飲料と入っていない飲料を比較して、血中中性脂肪の上昇が抑えられていることを示しています。ただし、抑えられているだけでそれ以上のことは示されていません。これをどう理解するか。個人的には効能はある(個人差あり)が過度に期待しない方がよいと考えています。
次回は上手な利用法を紹介します。
       

 (文責 山田篤)
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2017年5月 1日 月曜日

糖尿病通信25 糖尿病の臓器といえば?

○肝臓の調子はいかがですか?
糖尿病と関連する臓器は?というとまずはインスリンを分泌する膵臓を思い浮かべますが、血糖値をコントロールするという意味においては肝臓はとても大事な働きをしています。
そこで今回は、3月、4月の観送迎会という名目の飲み会で傷めたであろう糖尿病の司令塔、肝臓についてのお話です。

○肝腎要の臓器
肝臓の働きは大きく分けて3つあります。
食べた物をエネルギーに変える代謝、体に取り入れた物が影響をおよぼさないようにする解毒、肝臓でつくられた老廃物を流す胆汁の生成・分泌です。

○糖の流れの中の肝臓
肝臓の視点から糖に対しての働きを見てみます。
血糖値が高くなると血中インスリン濃度が高くなります。ほとんどの細胞がブドウ糖を取り込んでエネルギー源としますが、肝臓はブドウ糖を取り込んで蓄えます。
血糖値が下がると血中インスリン濃度が下がります。すると肝臓は貯めておいたブドウ糖を放出します。
つまり、ブドウ糖を肝臓の倉庫から出し入れして血糖値を一定にコントロールしている司令塔的な臓器なのです。

○感じるのはインスリン?血糖?
ところで、肝臓は血糖値の高い低いを何で判断しているのでしょうか?答えはインスリンです。
正常であれば問題ないのですが、糖尿病のようにインスリン不足やインスリン抵抗性(感受性の低下)があると、既に高血糖になっていても肝臓はブドウ糖を放出し続けてしまいます。
また、脂肪肝などで肝機能が低下していると血糖値や中性脂肪を増加させ、糖尿病が肝臓に負担をかける悪循環が生じます。

○鍼治療で肝臓や糖尿病をフォローできます
上記のことから、肝腎要の肝臓を守ることが大事になります。
臨床において、はり治療が肝機能を反映する臨床検査値や肝機能低下からと思われる症状を改善する経験しており、東洋医学研究所Ⓡ・東洋医学研究所Ⓡグループでは症例報告や、マウスに対する鍼治療が肝臓毒である四塩化炭素の毒性に対して予防的に働く基礎研究を報告しています。
また、糖尿病キャンペーンに参加された患者さんの中に血糖値が改善したと同時に、肝機能を反映する臨床検査値も改善傾向になったという報告も聞いております。
      
 (文責 山田篤)
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