顔面神経麻痺通信

2019年6月 1日 土曜日

顔面神経麻痺通信11 顔面神経麻痺に関する学会発表について

 東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、令和元年5月10日~12日に名古屋国際会議場で開催された第68回(公社)全日本鍼灸学会学術大会(愛知大会)において、顔面神経麻痺に関する発表を5題報告させて頂きます。

No.1の「鍼治療(筋膜上圧刺激)による末梢性顔面神経麻痺症状の改善効果 -柳原法(40点法)を用いた症例集積-」は、No.2~5などの一例報告を集めて検討した症例集積研究です。
平成14年12月2日から平成29年10月25日までに、東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループの鍼灸院に来院し、鍼治療を受療した末梢性顔面神経麻痺患者18名19相(Bell麻痺15例、Hunt症候群4例 平均年齢 49.0±14.5歳)を対象にしました。鍼治療は週1回以上の頻度で、黒野式全身調整基本穴と、症状の改善を目的とした顔面の経穴に対し筋膜上圧刺激を行い、柳原法を用いて治療効果の経過観察を行いました。
結果は19症例のうち17症例は、柳原法において36点以上に改善しました。その中には、すでに薬の服用を中止し、良好な回復を示した症例が3症例ありました。さらに発症から来院するまでに3年半や6年経過している症例にも改善が認められました。
次回は一例報告について、詳しくご紹介させて頂きます。
東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、現在も積極的に症例を集積し、その治療効果を検討し、できるだけ早く後遺症を残さず、顔の表情を取り戻すことのできる鍼治療を研究しております。
是非、安心して鍼治療をお受け下さい。
(文責 井島晴彦)

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2019年5月 1日 水曜日

顔面神経麻痺通信10 顔面の経穴(ツボ)について

顔面神経麻痺の治療には、生体の統合的制御機構の活性化(体全体の調子を整える)を目的とした生体制御療法と、症状に対する局所療法、生活指導が重要となります。
今回は、顔面神経麻痺の症状に対する局所療法としてよく使用される経穴を紹介させて頂きます。
・太陽(タイヨウ):眼精疲労などの目の疾患や、頭痛などにも使用されます。
・迎香(ゲイコウ):鼻水、鼻づまりなど鼻の疾患にも使用されます。
・地倉(チソウ):胃の働きを整える作用もあります。
・陽白(ヨウハク):目の疾患や、頭痛、不眠症などにも使用されます。
・四白(シハク):目の疾患や、めまい、上歯痛などにも使用されます。
・下関(ゲカン):耳の疾患や、頭痛、めまいなどにも使用されます。
・翳風(エイフウ):顔面神経麻痺の他、特に耳の疾患に使用されます。
・頬車(キョウシャ):下歯痛や耳の疾患などにも使用されます。 
鍼灸治療に、経穴は切っても切れないものです。東洋医学研究所Ⓡ所長の黒野保三先生は、「経穴の形状は、皆それぞれの形を作っていて一定ではない。また人の体格や病態によっても変化がある。
鍼の先の感覚で経穴の深さを正確にとらえ、適切な刺激をあたえる技術が重要である。」と述べておられます。
東洋医学研究所Ⓡグループの先生方は、経穴の位置・形状・深さを正しく把握し、豊富な知識に基づいて、適度な鍼刺激を与えることができます。
是非、安心して鍼治療をお受け下さい。


              (文責 井島晴彦)

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2019年4月 1日 月曜日

顔面神経麻痺通信9 表情筋について

顔の目や口、鼻などを動かす筋肉です。顔には20種類以上の筋肉があり相互に作用し、人間の複雑な表情を作り出します。また、身体の筋肉は、骨と骨をつないでいますが、顔の筋肉は骨と皮膚につながっているため細かな表情を作り出すことができます。また、表情筋は通常の生活では全体の30%しか使っておらず、無表情で表情筋を使わなかったり、加齢などが原因で衰え、保っていた顔のハリなどのバランスを崩しシワやたるみになります。
下図に示した表情筋の一部について説明します。

 
前頭筋①は、驚いたときなどに眉(まゆ)を引き上げたり、額にしわをつくります。この筋肉が衰えると額に横ジワが入ります。
眼輪筋②は眉をあげたり、まぶたの開閉、ウィンクなどにかかわります。この筋肉が衰えると目尻のシワや上まぶたのたるみになります。
頬筋⑦は上下のあごの関節から口角まで伸びている筋肉です。口角を上げるはたらきがあります。この筋肉が衰えると口角が下がった寂しい口元になります。
口輪筋⑰は唇の周りの筋肉です。口元のさまざまな表情を作り出します。この筋肉が衰えると口元のたるみやシワにつながります。
オトガイ筋⑱は、唇の下から顎に伸びる筋肉です。下顎を押し上げて顎のラインを引き締める働きをします。この筋肉が衰えると正面から見て二重顎になります。
この他、表情筋には、口角をあげて笑いの表情をつくる大頬骨(だいきょうこつ)筋⑤、いわゆる「えくぼ」をつくる笑筋⑧、口角下制筋⑨、眉間(みけん)にしわを寄せる鼻根筋⑬、激しい感情的な表情で鼻翼を広げる鼻筋⑭などがあります。
表情筋はすべて顔面神経の支配を受けています。したがって、顔面神経麻痺によってこれらの筋が麻痺すると、表情の動きは制限されます。
    (文責 井島晴彦)

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2019年3月 1日 金曜日

顔面神経麻痺通信8 柳原法(40点法)による顔面神経麻痺の予後予測

今回は具体的な柳原法による予後の予測について名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野教授、名古屋市立東部医療センター病院長の村上信五先生の研究をご紹介させて頂きます。
1)対象
麻痺発症後1週間以内に名古屋市立大学耳鼻咽喉科を受診したBell麻痺患者で、麻痺が治癒するまで、治癒しなかった場合は1年以上経過観察できた392例を対象とした。男性193人、女性199人で年齢は5歳~87歳(平均46.7±17.9歳)であった。
2)方法  
Bell麻痺患者392例を、最終スコアで治癒群(38~40点)、改善良好群(32~36点)、改善不良群(30点以下)の3群に分類して、各群の経時的な麻痺の回復曲線を作成した。
村上先生は、麻痺発症から1年間スコアをつけていくと、軽い症例はすぐに点数が良くなって早く治ることがわかった。一方で重症例はその治癒曲線になかなか追いついてこなかった。40点法で一週間以内に12~14点以上あれば治る、あるいは1ヶ月経っても20点を超えている人は治るなど、将来どのような経過をたどるかを予測することができると報告されています。

東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、このような情報から得られた予後予測に基づき、顔面神経麻痺の病態に合った的確な治療をさせて頂いております。そして、第36回(公社)生体制御学会学術集会における顔面神経麻痺シンポジウムにおいて、鍼治療を行うことにより、柳原法から導き出された麻痺回復経過より良好な回復を示した症例について報告させて頂いております。
是非、安心して鍼治療をお試し下さい。      
(文責 井島晴彦)

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2019年2月 1日 金曜日

顔面神経麻痺通信7 顔面神経麻痺の程度を評価して予後がわかる?

顔面神経麻痺の治療をさせて頂く際、その症状がどれくらいの期間で、どれくらい改善するかをあらかじめ予測することは大変重要です。

前回ご説明させて頂いた柳原法(40点法)や各種検査を行うことにより、予後の予測が可能となります。今回は、そもそもどうして、すぐに症状が改善する場合と、後遺症が残る場合があるのかについて、顔面神経の障害の程度からご説明させて頂きます。ベル麻痺やハント症候群は、膝神経節でウイルスの再活性化が起こるため顔面神経炎を生じますが、膝神経節の部分は顔面神経管が直径約1mmと大変狭いために神経が腫脹すると圧迫されて神経障害が起きると考えられています。

この神経障害の程度は大きく3つに分けられます。
1. 一番障害の軽い脱髄は、一過性の伝導ブロックです。圧迫が解除されれば、伝導ブロックは解除され、1ヵ月以内に回復します。


2. 次に障害の重い軸索断裂は、末梢側の栄養が途絶えて軸索は変性します。軸索断裂では内膜の損傷は起こらないので、神経の再生は完全で、回復には通常3週~3ヵ月を要します。


3. 一番障害の重い神経断裂は神経内膜まで断裂しており、膝神経節より遠心性に変性が進行します。神経断裂を含んでいる症例では、一般的に3ヶ月では完治せず、発症から12~14ヶ月頃まで持続回復し、その後症状固定します。

この3種類の障害度の割合が、顔面神経麻痺症状や予後に影響すると考えられています。
具体的な柳原法(40点法)や各種検査による予後の予測については、次回にご説明させて頂きます。
東洋医学研究所®及び東洋医学研究所®グループでは、顔面神経麻痺に関する情報から得られた予後予測に基づき、病気に合った的確な治療をさせて頂いております。是非、安心して鍼治療をお受け下さい。  
(文責 井島晴彦)

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