| 平成15年7月5日号 | |||||||||||||
| 臨床鍼灸研究の重要性 ―第52回(社)全日本鍼灸学会学術大会に参加してー 東洋医学研究所グループ 二葉鍼灸療院 皆川宗徳 |
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この学術大会には、黒野保三先生はじめ、東洋医学研究所グループのメンバー 全員が参加し、各研究テーマに沿った鍼灸最前線の研究分野に足を運び研鑽しました。 今回、コラムを担当させて頂くにあたり、学術大会を通して感じたことを述べさせて頂きます。 今回の学術大会には、東洋医学研究所グループのメンバー8名が学会発表を行う機会 を得ることができ、私も「脉状診と血圧との関連研究」と題して発表させて頂きました。
この研究は、黒野保三先生より古典文献の中から、アドバイスを頂き開始した研究であり、 高血圧の人、低血圧の人、正常血圧の人では、脉の状態に違いがあるのか どうかを調べたものであります。 黒野先生の著書「臨床鍼灸医学」の中で、「鍼灸医学を正しく発展させるには、 古典文献をできる限り自然科学の基準を満たすように整理整頓し、日本独自の新しい鍼灸医学 を確立していかなければならない。」とご指導頂いているように、古典文献に記載してある事柄が事実なのかどうかを、 正しく整理整頓をしていくためにも、研究が必要なのであります。 今回発表させて頂いた東洋医学研究所グループのメンバー全員、黒野先生から研究テーマを頂いて、 診療の現場で得られた現象が正しいかどうかを研究したものであり、この研究結果が患者さんに還元されていくものと確信しています。 次に、平成15年6月6日(金)に、日韓「鍼とEBM」ワークショップ準備会が、ウエルシテイ高松において開催され、 私も(社)全日本鍼灸学会愛知地方会としてメンバーに加えて頂き参加させて頂きました。 この会議には、日本側8名、韓国側8名、オブザーバー6名の計22名の出席者で、日韓の臨床鍼灸研究の現状が報告されました。 最近、EBM(Evidence-Based Medicine:科学的根拠に基づいた医療)の重要性が叫ばれるようになり、 鍼灸の臨床分野においても質の高い研究が重要になってきているのが現状であります。 EBMとは、不確かな経験に頼らず、科学的エビデンス(証拠)に基づいて最適な医療・治療を選択し、 実践するための方法論であります。 このようにEBMの観点から、世界的に鍼灸の有効性が検証されている中、日韓の現状報告をみると、 欧米に比べて研究業績が少ないことがわかりました。
東洋医学研究所グループでは、1施設での臨床研究に止まらず、多施設での臨床研究 ができる体制を黒野先生のご指導のもと、いち早く取り入れて研究に取り組んでいます。 黒野先生が東進研進歩集17号「臨床鍼灸医学の実証医学的研究について」 の中で、「今後、古典文献の考察から実証医学的研究に至るまでのプロジェクトチームを構成することと、 鍼灸診療における現象を整理し、基礎的・臨床的研究における実証医学的研究に至るまでの プロジェクトチームを構成し、双方の共通の場としての鍼灸医学研究の検討委員会を設けて、鍼灸医学の 確立を計らなければならない。」と提言され、鍼灸医学研究の模式図を示されています。
ここで、欧米でのEBM研究の一端をご紹介させて頂きます。 がんの代替療法の有効性と安全性についての研究の現状を、ハーバード大学のグループがまとめて、 内科学アナルズ2002年12月3日号に報告しています。 米国内科医会が発行する同誌では、さまざまな病気に対する代替療法についての研究のまとめを連載中 であり、今回の報告は、がんの代替療法を取り上げています。 代替療法の利用を考えている患者に対して、科学的根拠を説明するために整理する考えで、研究結果 がまとめられているものであります。 (この研究結果が日本語に訳されたサイトがあります。くわしくはこちらをクリック )取り上げられているのは、鍼灸、マッサージ、サプリメント、ビタミン、食事療法、 運動療法、心理療法などであります。
このように米国では、EBMの観点からがんに対して、鍼灸がどの程度効果があるのかが 他の治療法と比較して検証されています。 研究報告によると、化学療法による吐き気や嘔吐に対し て、鍼灸治療が70%以上の有効性があると報告しています。 しかし、慢性疼痛に対する鍼灸治療の有効性に関しては、質の高い研究が少なく、有効性について議論できない段階であると報告しています。 質の高い研究が欧米で行われている中、今後、様々な疾患に対する鍼灸治療の有効性が報告されてくると思われます。 東洋医学研究所グループにおいても、黒野先生が今まで行ってこられた研究をベースに、 さらに研究を積み重ねていけるよう頑張っていきたいと思います。 今回、学術大会に参加させて頂いて、多くのことを学ぶことができましたし、東洋医学研究所グループの研究の質の高さも改めて認識させらました。 最後に、この紙面をお借りしまして、日頃ご指導頂いている黒野保三先生に深く感謝申し上げます。 |
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