平成19年9月1日号



東洋医学研究所®グループ
二葉鍼灸療院 院長 河瀬 美之

はじめに
 足のしびれは不快な症状のひとつであり、これにより歩行が困難になったり、歩行時につまづいて転倒して骨折や頭部を打つなどの重大な損傷を引き起こす可能性があります。
 そこで、今回は足のしびれの原因と鑑別方法、予後と対処法について述べさせて頂きたいと思います。

原 因
 大きく分けて3つが考えられます。
1.糖尿病などの代謝性疾患
 糖尿病による神経障害では両足のしびれがあったり、特に足の裏のしびれなどが特徴です。血糖値などの血液検査でわかります。

2.足の動脈病変
 閉塞性動脈炎が代表的な疾患で、動脈硬化などが原因の場合もあります。
  
3.腰部疾患
 腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニアなどが代表的な疾患です。
  
鑑別方法
 歩行により足に痛みやしびれが出現または悪化し、休むと症状が楽になる場合の鑑別チャートは以下の通りです。

歩行困難の特徴
1.腰部脊柱管狭窄症
 歩行により歩けなくなっても、前屈姿勢をしばらくしていると、再び何事もなかったように歩けるようになるのが特徴です。歩行では100メートルも歩けないのに、自転車だとどれだけでも走れます。
 
2.動脈病変
 歩行により歩けなくなっても、立ったままでしばらく休憩していると、しびれはありますが、再び歩けるようになります。
 
3.腰椎椎間板ヘルニア
 前屈姿勢をとらなければ、比較的歩くことが可能です。


予 後
1.糖尿病などの代謝性疾患
 平成15年5月号コラム:「糖尿病と鍼治療」−鍼治療は糖尿病治療に有効です−にあるように、糖尿病からくる足のしびれについては糖尿病のコントロールが必要です。その場合、鍼治療が有効であることが記載されています。
  
2.足の動脈病変
 鍼治療により足の血行改善をはかり、徐々に改善されてきます。
  
3.腰部疾患
 平成15年6月号コラム:「腰痛と鍼治療」−あなたの腰痛はどんな腰痛ですか− にあるように、鍼治療や日常生活の注意点、腰痛体操などにより腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの進行を抑えることは可能です。
  
対処法
 足のしびれがあると、どうしても足元が不安になり、歩く機会が少なくなります。また、足元をよく見て歩く必要がありますが、それにより身体が前傾姿勢となり、首や腰を痛める場合があります。足元をよく見る必要もありますが、こういったことにも注意が必要です。
 できれば、極力歩いて足腰の筋力強化を行った方がいいので、転倒防止と暑さ対策として、ショッピングセンターなどでカートを押して歩く訓練をされるといいと思います。ただし、あまりカートに頼るのではなく、補助的に押すというイメージで歩かれるといいと思います。

おわりに
 足のしびれは慢性疾患のひとつの症状です。したがいまして、鍼治療により症状緩和は可能ですが、完治するには時間がかかります。
 足のしびれを緩和させることにより歩きやすくし、血行を良くして効率よく筋力アップをする効果の一助として鍼治療は効果があります。
 転倒には充分注意し、是非、鍼治療により生活の質を高めて頂きたいと思います。

戻る

ホームへ